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サルビアのナーセリー、山本茂登さんに聞く「サルビアの魅力とは?」

last updated Sep.16,2006
すっと伸びた細い枝先に咲く、ブルーや紫、赤、白、黄色など色とりどりの可憐な花。オーストラリア大陸以外のほぼ世界中に分布するサルビアは、その数900種以上。花や葉の色、形、香りなど多彩な魅力をもっています。特に背の高い大型の株姿に魅せられ、サルビアを中心に栽培している山本花園の山本茂登さんに、その魅力や楽しみ方などお話を伺いました。


明るい空色の花が人気のサルビア・アズレア
背の高いサルビアの株姿に心を動かされた
 JR佐倉駅南口から車で約15分、山本花園は、千葉県佐倉市郊外に広がる山あいの緑豊かな田園地帯にあります。一時は100種類を超えるサルビアを栽培していたという山本茂登さんが、サルビアと出会ったのは10年前のことです。
「サルビア栽培を始めたのは、サルビア・レウカンサとチェリーセージとの出会いがきっかけです。レウカンサの紫色の花は衝撃的な美しさでした。地植えのレウカンサは草丈が高く、株全体にボリュームがあって、本当にきれいだと思ったのです。チェリーセージは大きなコンテナに植えられていたのですが、初秋のころで色が冴えていて、咲きこぼれるような満開の赤い花は感動的な美しさでした」と山本さん。
 当時はパンジーやポーチュラカなどの花苗を生産していた山本さんですが、その後、サルビアの栽培に着手。平成10年には、澄んだ空色の花が魅力的なサルビア・アズレアを市場に出し、大ヒットしたことから本格的なサルビア生産に踏み切り、現在に至っています。

「最初はどのようにすればいい苗がつくれるか、そのノウハウがまったくなく、手本となるマニュアルもなかったので、自分で工夫しながらつくってきました。通販カタログなどで入手できるかぎりの種類を集め、一時は100種以上のサルビアをつくっていましたが、現在は30種ほどに絞りました」
 サルビアの大きさと株姿に惚れこんで栽培を始めた山本さんは、ロゼット状の葉で冬越しする種類を除き、木質化するものが多い大型のサルビアを中心に品種数を絞ってきました。
 サルビア苗の生産はほぼ通年、さし木で行い、新しく栽培を始める品種は、冬季には、温度の違う5か所(暖房温度が15℃、5℃、凍らない程度に加温、無暖房の温室、露地)に置いて冬越しさせ、耐寒性を調べます。このデータは、市場に出荷する際に、原産地などとともに説明書に記載し、添付するとのことです。

黄色い花が特徴のサルビア・マドレンシス(イエローマジェスティ)



尺鉢につくったサルビア・ウリギノーサ(ボッグセージ)
花や葉の色、長い枝もサルビアの魅力、庭の主役にも
 サルビアの花色は、紫色も含めたブルー系は、どの色味でもある程度の人気が出て、外すことが少ないとか。反対に赤系は人気の出る赤、出ない赤がはっきりしているそうです。では山本さんがおすすめのサルビアはどんな色の花を咲かせるのでしょうか?
「今、個人的に一番好きなサルビアは、サルビア・スプレンデンス‘バンヒューティ’ですね。花期が長く、春から秋にかけて花が咲きますが、特に秋になると花色が深みのあるワインレッドになり、すばらしくきれいです。草丈は地植えにして1mから1m50cmくらいで、存在感のある株姿も見事ですね。ブルー系のサルビアと合わせてもいいですよ」
 秋に咲くものでは、サルビア・アズレア、サルビア・レウカンサもおすすめとか。春に咲くサルビアなら、ラベンダー色の花が涼しげで葉の香りもよいサルビア・クレべランド。6月中旬から秋にかけて花が咲くものでは、白い花に青い覆輪が入るサルビア・カメレアグナなど。

 また、葉の色も楽しめるサルビアもいろいろあります。サルビア・シナロエシス(コズミックブルー)は秋の紅葉がきれいですし、サルビア・リラータは濃い紫色の葉、サルビア・ディスコロールは葉の裏が銀葉で花色はブラックという個性的な品種です。
「サルビアは花色も豊富で、葉の色や形も多彩、草丈も幅広いので、いろいろな種類を組み合わせてサルビアが主役の庭を楽しむこともできます。また、どの植物でもそうですが、サルビアも植物の特性に合わせた使い方をしてやることが大切です。背丈が高いサルビアは、長く伸びる枝を生かした使い方をしてほしいですね。寄せ植えなど、あえてサルビアの枝を見せるようにするとおもしろいのではないでしょうか。また、花壇に植えると地下茎でふえて困るという方には、深めの鉢にサルビア・ガラニチカ(メドーセージ)やサルビア・エレガンス、サルビア・ウリギノーサなど大型の種類を植えて、鉢ごと花壇に埋める方法がおすすめです。地上部が枯れる冬には鉢を地面から掘り起こし、ほかの植物や球根などを植えることができます」
 また、秋まで咲く大型のサルビアは、8月のお盆ごろまでに地際20〜30cmくらいで刈り込むと、草丈が調節でき、しかも株立ち状のボリュームある姿を楽しむことができます。

斑入り葉のサルビア・レウカンサ。サルビアは葉の美しさも楽しめる


山本さんが一番好きという‘バンヒューティ’

チェリーセージは赤や白など花色が多彩で、花壇の雰囲気に合わせて花色を選べる


サルビアの良さを生かしたナチュラルな苗を育てる
 山本花園のサルビアは、サルビアがもつよさをそのまま生かし、なるべく自然に近いようにつくられています。
「もともと草丈があるサルビアは大きくつくるなど、なるべくナチュラルな苗や株をつくるように心がけています。サルビアの生産だけでなく、農業という産業自体、大儲けができる仕事ではない、と考えています。だったら、自分が好きなもの、自分がいいと思ったものをつくっていきたいですね」と山本さん。
 自分が好きなものだからこそ、よりよい苗を送り出したいという意欲も強くなります。
 さし木という栄養繁殖を行う過程で、花の色変わりや葉の大小、節と節の間の長短など、違う特性をもった苗が生まれることがあります。これらの枝変わりから、よりよいものを選んで、選別品種として残しているとのことです。例えば、サルビア・ウリギノーサはきれいな明るい水色の花を咲かせますが、山本花園では一般に出回っているより少し薄めの色で草丈の低いものを選別しています。

赤い花が可憐なサルビア・ブレファロフィラと、その後ろに日本原産のサルビア、アキノタムラソウ(サルビア・ジャポニカ)


直線的な茎が特徴のサルビア・カメレアグナ。花期は6月から秋まで
 少しずつ種類をふやしていきたいという気持ちもあります。例えば、日本の野山に自生するサルビア属のアキノタムラソウを来年の出荷に向けて準備しています。
 また、ゆくゆくはサルビアの新品種を育種したいという夢も。
「やはり、サルビアに惚れこんで生産を始めたからには、自分で名前をつけたオリジナルをつくってみたいですね。チャレンジしたいことはいろいろありますが、究極のチャレンジは新品種の作出でしょうね」
 いつか、山本さんのサルビアへの思いが結晶したような、新しい花を目にする日が訪れることを、期待を込めて待ちましょう。

温室で育成中のサルビアたち
大好きなサルビア・スプレンデンス‘バンヒューティ’と山本さん
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