last updated Jun.1,2001.


からだや心の悩みは人にはなかなか相談できないもの…。
しかも専門的な知識がないと、ついつい必要以上に不安になってしまいがちです。
ここでは、現在話題になっている病気や症状についてわかりやすく解説します。
最近、自分のからだのことが気になっている方、
病気のことをもっとしっかり知りたいという方は必読!!

回答/佐野七朗(佐野眼科医院院長)


疲れ目の原因とメカニズム

 職場ではOA機器、家ではテレビやビデオに囲まれている現代社会では、目の疲れを感じないことはないといってよいほどです。疲れの原因はたくさんありますが、部屋の明るさ、画面の明るさ、画面の位置などが関係します。また、画面に電気が映る、外の光が入るなどディスプレイの状態も影響します。
 人間は立って歩く動物ですから、普通は水平かちょっと下に視線を向けて歩いています。ですから、上を向いて歩くと目も疲れます。画面も同じように、少し視線を落とす位置にしておくのが楽なのです。背筋を伸ばして、画面を真っ正面におく。画面との距離は最低でも75cmくらいは離したほうがいいでしょう。職場などでは、書類をとるときにいすがすっと動くなど、人間工学的な工夫も必要です。
 また、じっとしていると血行が悪くなり、足が冷えてしまいます。足が冷えると、間接的に目にきます。栄養も関係します。ダイエットなどで節食していると、何をしても疲れてしまいます。そのほか、眼鏡が合わないとか、精神的なストレスなども原因として考えることができます。
 では、なぜ目は疲れるのでしょう。人間はものを見るときピント合わせをしていますから、遠くを見ているときと近くを見ているときでは、目の状態が違います。近くを見るときは、水晶体を厚くしてピントを合わせる筋肉を収縮させます。遠くを見るときは、筋肉も緊張せず、水晶体も自然です。OA機器などを操作する場合は、近くで見ているし、目の動きも激しい。つまり、非常に気を遣って見なくてはいけないので、調節する筋肉が疲れてピントを合わせる力が弱ってしまうのです。これを調節性眼精疲労といいます。


疲れ目のおもな症状は?

 目が痛い、頭が痛い、吐き気がする、目がショボショボする、目がかすむ、目やにが出る、目がゴロゴロする、充血するなど、目の疲れにはいろいろな症状がありますが、普通の疲れはひと晩寝れば治ります。
 ただし、充血の場合、疲れで酸素不足になって充血しているのなら、疲れがとれれば引きますが、黒目に傷がある場合、結膜炎の場合、バイ菌で化膿している場合、また紅彩炎といって目の中の病気で起こる場合、ドライ・アイやアレルギーによる場合もあります。充血は万病のもとといっていいかもしれません。早めに眼科医へ行ったほうがいいでしょう。
 また、目がけいれんする場合も、角膜などに病気があって刺激を受けた場合、また脳からくる場合もあります。気持ちが悪い、目まいがするなどの症状があれば、必ず医者に行きましょう。そういう症状がなくて、目も痛くないし、目やにも出ないで局部的にけいれんしているような場合は、繊維性けいれんの場合が多く、ストレスや疲れで起こりやすいものですから心配ありません。ただし、眼科医に診てもらうにこしたことはありません。


目の疲れをとるには?

 目の疲労はいろいろなものがうっ積して、うっ血しているわけです。ですから、それをとるには目を温めてあげることです。少し蒸気があると、潤いがあって理想的です。お風呂に入り、熱いタオルを目に当てて温めると、血行がよくなり疲れがとれます。冷やすと一見、疲労がとれるような感じがしますが、冷やすのはどちらかというと鎮静作用ですから、目が疲れてカッカとほてる、神経がイライラして疲れているというときには効果的です。ただし、冷やしすぎには注意しましょう。冷たいタオルでちょっと冷やして、鎮静したら、蒸しタオルで温めます。
 調節性眼精疲労の場合は、とにかく目を休めることです。1時間を単位として、50分目を使ったら10分休む。午前中の仕事が終わったら、昼は十分休む。ひと息入れると、緊張状態が回復します。いちばんいいのは、目をつぶって、本当に休ませることです。ごろっと寝ころんで、5分でもぐっと眠る。それができない人は、遠くを見て緊張をほぐす、窓を開けて緑を見る、人と話すなどをするようにしましょう。水分が足りなくなることもありますから、水分を補充することも重要です。


 
  Q&A

Q 毎日コンピューターを操作しています。最近、目の裏側にできものができて眼科に行ったら、霰粒腫(さんりゅうしゅ)だといわれ、切られてしまいました。何が原因だったのでしょうか。

A 霰粒腫はものもらい(麦粒腫・ばくりゅうしゅ)の親戚のようなもので、目の裏側にある、脂を出す線の組織に炎症が起こって脂がたまり、はれてくる病気です。若い人にとても多く、原因はほとんど疲れです。OA機器を使いすぎて、新陳代謝が悪くなり、抵抗力がなくなっているのでしょう。そうなったら操作を控えてください。すぐに眼科医へ行けば、薬で半分以上治りますが、4、5日たつと、しこりになって切らなければならなくなります。なんとなく痛いとか重いと感じたらなり始めですから注意して、少しでもはれたらすぐに医者に行けばたいていの場合、切らずにすみます。


Q 目がショボショボしてゴロゴロするのですが、どうしてでしょうか。

A いろいろありますが、注目されるのは今はやりのドライ・アイでしょう。ドライ・アイは涙の分泌が少ないから乾きやすく、乾くと、まばたきをするたびに眼球とまぶたが摩擦します。それがスムーズにいかないからショボショボし、ひどければゴロゴロします。涙には目の粘膜を保護する作用がありますから、涙がなくなると、角膜が空気に直接触れて、上皮がとれてしまうのです。ですから、ドライ・アイの人は目が非常に疲れやすいのです。一方、涙が正常に出ていても、目を開いていれば乾いてきます。まばたきが少ないために起こってくるドライ・アイもあります。まばたきすると、仕事の能率が落ちると思うんでしょうか。コンピューターにあまり夢中になりすぎると、目が乾いてしまいますのでご注意を。

 

簡単ストレッチで疲労回復!!

いすに座って、同じ姿勢で仕事をしていると、一定の筋肉しか使いません。そんなときは、使っていない筋肉を使ってストレス解消を。ストレッチで伸ばして血行をよくするのも疲労回復に効果があります。いすに腰かけてできる簡単なストレッチ。ぜひお試しあれ。


右手を左耳の上方にあてて、左側頭部を押さえるようにして首の左側を伸ばす。逆にして、首の右側を伸ばす。

両手を頭の後ろで組み、頭を押さえるようにして前に倒し、首の後ろを伸ばす。

後ろで組んだ手で頭を支えるようにして、首を後ろに倒し、あごからのどにかけて首の前側を伸ばす。

※すべて、腹式呼吸でゆっくり一定時間伸ばすのがポイント。
 

イラスト/木村桂子・漆原冬児


佐野 七朗 (さの・しちろう)

昭和5年、東京生まれ。慈恵医科大学卒業。昭和41年、大田区南雪谷で佐野眼科医院開業。「テレビゲームと子供の目」について実験データを発表、地域医療に従事する。現在、日本眼科医会副会長。著書に『現代に生きる会津士魂』。

 


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