NHK出版新書(NS新書)

ケインズはこう言った
迷走日本を古典で斬る
高橋伸彰
ケインズなら、日本経済にどのような処方箋を書くか?『貨幣論』『一般理論』など主著のエッセンスを平易に解説し、雇用問題からデフレまでのさまざまな危機にどう対処するかを論じる。「分配」「協力」など現在の経済理論には存在しない要素をいかに加味して、持続可能な社会を構築するかを説く。マルクスやハイエクとの比較もまじえ、現代に生きる古典の可能性を探る刺激的な書。

目次

序章
いま、ケインズから何を学ぶべきか?――マシンとフィロソフィー
第一章
ケインズの目で日本経済を見る
第二章
なぜデフレが起きるのか?――『貨幣論』の教訓
第三章
なぜ「非自発的失業」が存在するのか?――『一般理論』の豊かな可能性
第四章
なぜケインズは誤解されたのか?――ケインズ革命とマネタリスト反革命
第五章
真に自由な社会とは何か?――ハイエクのケインズ批判
第六章
ケインズならば迷走日本にどのような処方箋を書くか?
 

編集担当者より

 ケインズほど毀誉褒貶相半ばする経済学者はいない。リーマン・ショックが起きると、ケインズが主張していた政府の役割が復活したと持ち上げられる。他方、ユーロ危機が生じると、今度は「大きな政府」や「累積する財政赤字」の元凶として叩かれる。著者によれば、そこで取沙汰されているのはケインズの「わら人形」に過ぎず、いずれの議論もその本質を取り逃している。
 ケインズが主著『貨幣論』『一般理論』を執筆した動機は、世界大恐慌後の不況のなかで激増した、働きたくとも働けない「非自発的失業」に対処することだった。つまりケインズ経済学の本質とは、人びとを苦しめている深刻な危機とは何かを洞察し、精緻な理論を構築するのではなく、何よりその解決策を提示することである。「大きな政府論」はその派生物に過ぎない。
 そんなケインズなら、日本経済にどのような処方箋を書くだろうか。著者はいう。現在の喫緊の課題はデフレ脱却でも財政再建でもない、何よりも雇用の不安を止めることである、と。そしてケインズもまた、そのような視点から提言を試みるに違いない。これが本書を貫く問題意識である。
 本書では主著2冊に即して、それまでの経済理論には存在しなかった「非自発的失業」のメカニズムを、ケインズがいかに解き明かしたかを平易に解説し、そのうえで雇用問題からデフレまでの、現下のさまざまな危機にどう対処するかを論じる。「脱成長」という視点から、「分配」「協力」など現在の経済理論には存在しない要素をいかに加味して、持続可能な経済社会を構築するかを説く。
 著者七年ぶりの待望の書き下ろし。ケインズ入門書は数多あるが、かくも明快かつスリリングにその本質が説かれた本はなかったはずだ。マルクスやハイエクとの比較もまじえ、現代に生きる古典の可能性を探る刺激的な書。
(NHK出版 大場 旦)

著者プロフィール

高橋伸彰(たかはし・のぶあき)
1953年、北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済研究センター、通産省大臣官房企画室主任研究官、米国ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、現在、立命館大学国際関係学部教授。専攻は日本経済論、経済政策。著書に『数字に問う日本の豊かさ』(中公新書)、『優しい経済学』(ちくま新書)、『少子高齢化の死角』(ミネルヴァ書房)、『グローバル化と日本の課題』(岩波書店)など。

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