資本論マーク

一週間 de 資本論 [4夜連続放送] 本放送:NHK教育テレビ 9月27日(月)〜30日(木) 午後10:25〜10:49、アンコール放送決定! 2010.11.14〜12.05 (毎週日曜日 全4回)教育テレビ 午後11:00-11:24

司会
堀尾正明
メインコメンテーター
的場昭弘 (神奈川大学教授)
第1回ゲスト
森永卓郎 (経済アナリスト・獨協大学教授)
第2回ゲスト
湯浅誠 (NPO 法人自立生活サポートセンター・もやい 事務局次長)
第3回ゲスト
浜矩子 (同志社大学大学院教授)
第4回ゲスト
田中直毅 (国際公共政策研究センター理事長)
マルクスの『資本論』が今ふたたび注目されている。ベルリンの壁の崩壊以降、資本主義が一人勝ちし、新自由主義によってさらに資本主義が推し進められた結果、経済は混乱し、失業者があふれ、社会に格差が広がった。実はこれらの問題は、マルクスが『資本論』の中で分析していたことだった。
貧困や派遣切り、金融危機。まるで『資本論』の時代に舞い戻ったかのような現代。果たして『資本論』に未来を読み解く鍵はあるのか。
写真1 トーク場面

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経済のグローバル化が進み、格差・貧困など、資本主義の矛盾が露呈されつつある今、マルクスの古典的名著『資本論』に新たな注目が集まっている。『資本論』は現代の予言書か?マルクス研究一筋40年の著者が、「商品」「労働」「恐慌」「未来」をキーワードにして解き明かす『資本論』入門の決定版。
*全4章仕立て。各章最後に、番組ゲストの森永卓郎氏、湯浅誠氏、浜矩子氏、田中直毅氏との対談を収載。
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立ち読み
一週間 de 資本論 的場昭弘 著 10月26日発売 定価1,05 0円(本体1,000円)

そもそも資本論とは/著者からのメッセージ/番組プロデューサーからのメッセージ

そもそも資本論とは 著者からのメッセージ 番組プロデューサーからのメッセージ

 カール・マルクス(1818〜83)の主著。マルクスはドイツ観念論哲学、イギリス古典派経済学、フランス社会主義を吸収し、哲学的唯物論、経済学的剰余価値説、社会的プロレタリアート独裁を核とするマルクス主義を創始した、19世紀ドイツの巨人。
『資本論』は全三巻からなるが、マルクス自身が出版したのは1867年の第一巻のみ。第二巻(85年)と第三巻(94年)は盟友フリードリヒ・エンゲルス(1820〜95)がマルクスの遺稿を整理して刊行した。
 全17篇98章、総ページ数およそ2500ページに及ぶ大著で、第一巻では「資本の生産過程」が、第二巻では「資本の流通過程」が、第三巻では「資本主義的生産の総過程」が論じられる。副題は「経済学批判」。
 内容は、確固たる唯物史観に立ちながらも決して社会主義による未来社会像を声高に主張するものではなく、19世紀ヨーロッパ社会ののなかで抑圧され搾取される人々の生活を目の当たりにしたマルクスが、資本主義社会の原理的仕組みや運動を詳細に分析・解明したもの。
 刊行後は、ロシア革命(1917年)をはじめとする社会主義の実践に巨大な影響をおよぼし、冷戦が終結して20年を経た今なお、社会科学最高の古典として読み継がれている。

写真2 的場昭弘(神奈川大学教授)氏 「一週間de資本論」の制作過程のこぼれ話            
的場昭弘

 今回「一週間de資本論」という番組の解説を担当しました。9月の放送に向けて、5月からかなり周到な準備をしました。あの難解で、長大な『資本論』のどこにターゲットを絞るか、またどう表現するか、いろいろと試行錯誤を重ねたわけです。スタッフの方に私の大学にお越しいただき、何度も何度も議論をし、煮詰めていきました。最初はハーバード大学のサンデル教授風に、スタジオに視聴者を集めて講義をするという案もでましたが、結局ビデオ、解説、対談という形に落ち着きました。
 7月からは構成台本の作成です。担当者の方が、マルクスの『資本論』と私の『超訳「資本論」』を読み、ストーリーを作っていき、それを私がチェックして書き直す。その作業を何度かするという形でできあがっていきました。これと並行して私の方は、本書を執筆していました。
 当然ながら内容は『資本論』の解説部分に限りません。アニメなどのビデオ部分もあるわけです。引用する部分を私が原書から翻訳する。これはおもに画面上に流れる『資本論』の引用部分です。表現や事実について間違いがないかもチェックしなければなりません。夏休みはほとんどこれに費やしたといってもいいでしょう。19世紀の時代状況などの写真や絵画の選択、解説もあります。またその一方で、それにしたがってアニメを作成しなければなりません。
 最初の第1回目に登場する『資本論』第一巻初版は、法政大学の大原社研所蔵のもので、マルクスが友人の医師クーゲルマンに寄贈したものです。これには製本前の表紙がついています。ずいぶん初版を見てきましたが、表紙のあるものは初めてでした。さらに、第3回、第4回にも『資本論』初版が出てきます。これは私の勤務する神奈川大学付属図書館に協力してもらいました。まずは第一巻初版のみならず第二版(1872年)、第二巻の初版(1885年)、第三巻初版(1894年)、フランス語版(1875年)を事前に用意しました。引用箇所などを丁寧に探し、撮影しましたが、実際にはほとんど使われておりません。
 第4回目にはジャック・アタリの書物についての言及と、彼のインタビューもあります。実は『マルクス伝』を藤原書店から出す予定であったこともあり、冒頭それについてふれています。2005年からこれに取り掛かっているのですが、あれやこれやいろんな仕事が舞い込み出版は大幅に遅れております。
 撮影は8月24日と9月16日の2回にわたって行われました。テレビ初出演ということもあり、緊張してスタジオに入りました。ベテランの堀尾アナウンサーの司会で進むのですが、さすが堀尾さん話がうまい。つい乗せられ少しずつ緊張もほぐれていきました。とはいえ、NGの連続でみなさんに迷惑をかけてしまいました。対談に来ていただいた森永卓郎さん、湯浅誠さん、浜矩子さん、田中直毅さん、いずれも興味深い話をしていただき、放送の内容を盛り上げていただきました。『資本論』の解説だけだと、どうしても19世紀という昔の話になってしまうのですが、対談のおかげで『資本論』が現代にどんな意味があるのかということが明確になったと思われます。
 こうして放送時間100分、ちょうど一本の映画の長さの作品を作り上げたわけです。とにかくスタッフの皆さんの意気には圧倒されました。いいものを作りたいという情熱をどなたももっていらっしゃったため、金にいとめもつけず(?)教育テレビの番組というより、総合テレビの報道番組のようなものになっていったのではないかと思われます。文系研究者というのは、一人でこつこつというのが多いのですが、今回は何十人もの方と一緒につくりあげたわけで、私自身も非常に疲れましたが、一方で楽しいひと時を過ごすことができて喜んでおります。当然書物の方は放送の内容とはかなり違います。三次元の世界と二次元の世界はまったく違うので当然といえば当然です。ですから、番組をごらんいただいた後に、もう一度ゆっくりと本を読んでもらうと、番組の印象もまったく変わるのではないかと思われます。

 「一週間de資本論」。何と無謀な企画か、と思われるかもしれません。あの超難解本の全貌を一週間で理解するなどは、確かに夢物語に等しい話です。しかし、昨今の経済不況によって『資本論』が提起した問題が、再び脚光を浴びています。そんな「今」の視点で、『資本論』をもう一回読み直した時、どのようなメッセージが現れるのか。これならお伝えできるのではないか、という思いを込めて四本シリーズを組みました。番組では、的場先生にできるだけ分かりやすく解説していただくとともに、第一線で活躍するゲストを迎えて、『資本論』を現代的視点で解剖してもらいました。一粒で二度おいしい番組になればと願っています。

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