よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

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Vol.4

しらいのりこさん
「だ円形の土鍋」

「きょうの料理」1月号掲載分

ご飯ものやご飯がすすむおかずを得意とし、夫婦でユニット「ごはん同盟」としても活動している、料理研究家のしらいのりこさん。そんなしらいさんがおすすめするご飯まわりのキッチン道具は、だ円形の土鍋。土鍋の一大生産地、三重県四日市市の萬古焼き(ばんこやき)です。さまざまなキッチンツールや器などのデザインに携わっている知人が手がけたものだそう。
 容量が1.2ℓ、1.5ℓ、2ℓの3種類あるなかで、特に重宝しているのは、鍋料理や煮物はもちろん、ご飯を炊くのにもちょうどよい1.5ℓのもの。

 


「一般的な円形の土鍋ってけっこう場所をとるんですけど、だ円形だと意外と狭い食卓にもスッと置きやすいんです。ほかの料理や取り皿、調味料、飲み物なんかを並べるスペー スが確保できるんですよ」。なるほど、ありそうでなかった視点です。落ち着いたトーンで高級感のあるブラウンは、洋風の煮込み料理などにもよく合いそうです。
 土鍋としては薄手のため、火の通りが早く、軽くて扱いやすいのもポイント。もちろん薄手でも土鍋ならではの蓄熱性・保温性の高さは遜色ありません。直火(じかび)で焼いたり炒めたり、電子レンジにかけたり、オーブンで焼いたりと、これ一つでさまざまな調理法に対応できます。

 

細部にも使いやすい工夫が施されています。鍋本体のリム(縁)は幅があり、傾斜がついていて、沸騰しても吹きこぼれにくくなっています。ふたはミトンをつけていてもしっかり持てる形状になっていたり、逆さにして皿がわりにも使えたりとアイデア満載!
 大きな食材が映えるので、年末年始のごちそうにもうってつけ。「横長の形を生かして、冬ならたい一匹を丸ごと炊き込んだ鯛たいめしもおすすめですよ!」。ふたを開けたら、「わぁーっ」と歓声が上がりそうですね。

撮影・原ヒデトシ

骨付きチキンのピラフ

骨付きの鶏肉を丸ごと1本! 香ばしく焼きつけてから
土鍋でじっくり炊くと、ホロホロと柔らかくなります。

材料(2人分)

米…360㎖(2合)
鶏もも肉(骨付き)…1本(350g)
たまねぎ…1/2コ(100g)
パプリカ(黄)…1/2コ(100g)
マッシュルーム…10コ(80g)
にんにく(みじん切り)…1かけ分
白ワイン…大さじ2
黒こしょう(粒)…小さじ1/2
ローリエ…1~2枚
●塩・バター
◎460kcal ◎塩分1.9g ◎40分*蒸らす時間は除く
  1. 肉は骨に沿って切り目を入れ、塩少々をふる。たまねぎはみじん切りにする。パプリカはヘタと種を除いて細切りに、マッシュルームは薄切りにする。米は洗ってざるに上げる。
  2. 鍋にバター15gを中火で熱し、溶けたら皮を下にして鶏肉を入れ、4分間ほど焼いて皮がカリッとしたら取り出す。同じ鍋ににんにく、たまねぎ、パプリカ、マッシュルームを入れ、たまねぎが透明になるまで炒める。
  3. 米を加えて混ぜ、2の鶏肉を戻し入れ、白ワインをふりかけて全体になじませる。水カップ1 1/2、塩小さじ1、黒こしょう、ローリエを加え、弱めの中火で5分間ほど煮る。煮立ったらふたをして弱火にし、15分間炊く。火を止め、そのまま10分間蒸らす。

大きな食材が映える!

長径34㎝、短径23.5㎝のだ円形。骨付き肉や丸ごと一匹の魚など、大きな食材をそのままの形で調理できます。電子レンジにかけたり、オーブンに入れて焼いたりすることもできるので、料理の幅が広がり、一年中活躍します。

炊き込みご飯に
ジャストサイズ

容量1.5ℓは米2合を炊き込むのにちょうどよい大きさ。具材を炒める→炊く、の工程をこの鍋一つでこなせるので、うまみを逃さず、さらに洗い物も減らせます。

ふたは皿がわりに!

ふたを逆さにすると持ち手が脚になり、皿としても使えます。野菜の水けをきってサ
ラダとして盛りつけたり、鍋物の具材などをのせたりするのに便利です。

理由ありの道具たち
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