よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

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Vol.5

坂田阿希子さん
「引っかくだけのレモンの皮削り」

「きょうの料理」2月号掲載分

料理・菓子研究家として活躍しながら、人気洋食店を切り盛りする坂田阿希子さん。坂田さんのキッチンで、冬の時季に大活躍するのがこのドイツ製のツール・レモンゼスターです。用途はとってもシンプル。レモンの皮をクルッと、薄く、軽~く削るための道具。たったそれだけ? と思いきや、この皮削りがあるのとないのとでは大違いなのだと坂田さんは語ります。

 

「レモンの魅力を生かしたいなら、この道具は欠かせません。クルッとカールした見た目もかわいいし、なんといっても香りが違います! レシピにはよく『レモンの皮のすりおろし』や『レモンの皮の細切り』が出てくると思います。レモンの皮は普通のおろし器では堅くてすりおろしづらいし、気をつけないと苦みが出てしまう。細切りも包丁で皮をむいてから切っていては、厚くて不格好になってしまいます。これさえあれば、サクッと簡単に、しかもとびきり
香り高く削れますよ」

 

レモンのようなかんきつ類は、表面の皮のすぐ下に苦みの強い「中果皮」がありますが、この皮削りなら表面を軽く引っかいて削るから苦みもつきません。今の時季はすだちやかぼすなどのかんきつ類を鍋物に散らすのにも役立ちます。
 シンプルで握りやすいグリップなので万人が使いやすく、サラダでも煮込みでも、サッと削りかけるだけで華やかな一皿に。これ1本でレモンの活躍の幅が大きく広がりそうなアイテムです。

撮影・原ヒデトシ

レモンパンプディング

レモンの香りが爽やかなパンプディング。
少し堅くなったバゲットも、フワフワにおいしく生まれ変わります。

材料(つくりやすい分量)

バゲット…1/2本(120g)

A

バター(食塩不使用)…40g
レモンの皮(国産/削る)…1/2コ分
レモン汁…小さじ1
卵…2コ
卵黄…2コ分
グラニュー糖…70g
牛乳…カップ1 1/2
生クリーム…30㎖
バニラエッセンス…少々
バター(食塩不使用)…適量
粉砂糖・レモンの皮(国産)…各適量
◎1580kcal ◎塩分2.7g ◎30分
  1. バゲットは1㎝厚さの斜め切りにする。Aはすべて混ぜてバゲットに適量塗り、こんがりとトーストする。
  2. ボウルに卵、卵黄をほぐし入れ、グラニュー糖を加えて泡立て器で混ぜる。牛乳、生クリームを順に加えて混ぜる。バニラエッセンスを加えて、さらに混ぜる。
  3. 耐熱皿の内側に薄くバターを塗り、1を並べる。2の卵液を流し入れる。
  4. バットに3をのせ、皿の1/2高さくらいまでバットに熱湯を注ぐ。天板にのせて160℃のオーブンで20分間ほど蒸し焼きにする。仕上げに粉砂糖をふり、レモンの皮を削りかける。

オレンジや
すだちにも◎

レモンだけでなく、オレンジやすだち、かぼすなどの、ある程度の堅さがあるかんきつ類の皮もきれいに削れます。季節を問わず、爽やかな香りを食卓に添えられます。

力を伝えやすく、
太めにも削れる

グリップは長すぎず、手にとりやすくて使いやすいデザインです。大きい穴を使えば、少し太めに削ることも可能。余計な飾りや機能がない道具だからこそ、長く愛用できます。

苦みがなく、ニュアンス豊かな香りに

5つの小さい穴でこするように引っかくと、クルッとカールした形に削ることができます。香りに奥行きが出てニュアンスも豊かになり、包丁で刻んだときに比べて苦みも出ません。

理由ありの道具たち
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