よい道具には、理由があります。
料理研究家が愛してやまない台所道具の
逸品と、
その「わけ」を、ご紹介します。

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Vol.6

なかしましほさん
「プロユースのブレッドナイフ」

「きょうの料理」3月号掲載分

東京・国立で焼き菓子店を営むなかしまさん。コロナ禍の今は通信販売が中心ですが、シンプル&ナチュラルスイーツの人気は衰えを知りません。今日も全国のファンのおいしい3時のために、せっせとお菓子を焼いたり切ったり。
 シフォンケーキをスライスするなかしまさんの手には、愛用のナイフが握られています。スッスッと、とても切りやすそうですね。

 

「これですか? 使いはじめたのは2年ほど前でしょうか。もうほかのナイフは使えないくらい頼りにしているんですよ」
 がっしりと堅牢(けんろう)そうなブレッドナイフは、いかにも「仕事できます」といった風情。いちばんの“推しポイント”はどこなのでしょうか?
「とにかく刃のサイズ感に尽きます。薄くて短い刃のものは、食材によってはどうしてもつぶれてしまう。力が入りすぎちゃうんですね。ちょっとこれを切ってみましょうか」

 

切るにはいかにも手ごわそうなハード系のバゲット。おぉ、スッと刃が入り、そのままなめらかにカットされていきます。刃に厚みと長さがあるので食材に当たる力が分散され、過度に力を込めずともすんなり引ききることができるのですね。
「ブレッドナイフに関しては“大は小を兼ねる”を実感しています。それに堅いものだけでなく、サンドイッチやのり巻きのような柔らかなものも、切れ味がよいから断面が美しいんです」
 何とも頼もしいこのナイフ、製造はスイスに拠点を置く世界的ブランド。刃先の加工、刃のフォルムなど、随所に一流のクラフトマンシップが息づいています。なかしまさんをはじめ世界中のプロをうならせてきたナイフ、ぜひ手元に置いておきたい逸品です。

撮影・吉田篤史

フルーツサンド

ブレッドナイフで美しくカットした断面に、歓声が上がります。

材料(つくりやすい分量)

食パン(8枚切り)…4枚
いちご…8コ
キウイ…1コ
黄桃(缶詰/二つ割り)…1切れ

A*

生クリーム…カップ1
きび糖(または砂糖)…大さじ2
練乳…大さじ2
◎300kcal ◎塩分0.4g ◎20分**
*つくりやすい分量。
**冷蔵庫で冷やす時間は除く。
切り終わりはナイフを手前に引かず、右に軽く倒してそっと引き上げる。こうすると断面にクリームがつかない。切るつどナイフを布巾などで拭く。
  1. キウイは縦横半分に切って4等分にする。黄桃は4等分に切る。それぞれ汁けをしっかり拭く。
  2. ボウルにAを入れ、底を氷水に当てながら堅めに泡立てる。泡立て器を持ち上げたときに落ちない程度が目安(八~九分ぶ立て)。
  3. 食パン1枚に2を薄く塗る。四隅にいちごを置き、いちごの一方の対角線上に黄桃を2切れ並べる。もう一方の対角線上にキウイ2切れを同様に並べる。フルーツで×印をつくるようにきれいに並べる。
  4. フルーツが隠れるように2で覆い、食パン1枚ではさむ。同様にもう1組つくる。ラップで包み、冷蔵庫で1時間冷やす。冷やすことでしまり、切るときにクリームがだれにくい
  5. ラップを外し、ブレッドナイフでみみを切り落とす。×印に置いたフルーツを等分にカットするイメージで、4等分に切る。

手に自然にフィットするレッドグリップ

人間工学に基づいてデザインされた、すべりにくく手になじむグリップ。110℃までの耐熱性で衛生面にも優れ、ブランドカラーのレッドがキッチンに明るさを添えます。

精緻な加工とフォルムが
もたらす圧倒的な
切れ味

刃先には精巧な研磨加工が施され、高い強度を保ちます。また刃渡りは先端に向かって上方への絶妙なカーブを描いており、最初の一刀から刃を引ききるまでストレスなくカットできます。

ワイドな刃幅と刃渡りで切断面も美しく

刃幅3㎝、刃渡り26㎝。この適度な大きさや厚み、長さが、安定感あるカッティングの秘密。ハードブレッドからソフトなサンドイッチまで、美しい断面に仕上がります。

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