じょう・もとほ=スタイリスト。ベルギーで食ともてなしを学び、雑誌や書籍で活躍する。
「竹製の米とぎざるを15年(!)ほど愛用していたのですが、竹ひごが1か所折れて、そこからお米がこぼれるようになったので、次のものを買わなくてはと、いろいろ探していました」と話す城さん。長年使っていたのは竹工芸作家のざるで、米への当たりが柔らかいのが気に入っていましたが、同じものはもうつくられていなかったそう。竹やまたたびなどの天然素材のものを探しましたが、今はつくり手が減っているせいもあって、なかなか気に入ったものに出合えなかったとか。そんなとき、見つけたのがこの米とぎざるです。
「天然素材ではないけれど、ざるがしなやかな素材でできていて、お米への当たりが柔らかそうだなと思って。しかもボウルがセットになっているのがうれしいポイントでした。今まではお米をしばらく水につけておくとき、土鍋の中でつけるのは避けたいと思って、とりあえず大きさが合うボウルを重ねて使っていたんです」
一見シンプルなこの米とぎざるは、細かいところにさまざまな工夫がされています。素材は独自開発の柔らかい樹脂製で、耐熱温度は100℃。柔軟性があるので米粒が割れにくく、米とぎに最適な柔らかさになっています。手の動きに合わせた形で、最大4カップ分までの米をとぐことができます。高い成形技術による細長い縦スリットは、隙間から米粒がこぼれにくい構造に。効率的な水きりができるため、米から出るぬかなども素早く洗い流せます。
「私はざるに入れたお米を流水でといだあと、ざるをボウルに重ねて水をはって浸水させ、水をきって土鍋で炊いています。土鍋の直径がざるより小さいのですが、ざるが柔らかいため、少したわめて お米を移せるのも便利ですね」
城さんは米とぎに限らず、さまざまな用途に使っています。
「水ぎれがよくて耐熱性があるので、麺類などの湯をきるのにはぴったり! たまねぎなどを水にさらすときも便利。ボウルにざるを重ねて水をはってたまねぎをさらすと、そのあとサッと水がきれます。葉物野菜はざるに入れて洗い、ボウルと重ねてぬらしたペーパータオルなどで覆って冷蔵庫に入れておくと、水分が蒸発する作用でシャキッとなります。サラダにするときなどにおすすめですよ」
ふだんの手入れは、天然素材のものよりもラクになったそう。
「手編みのざるはどうしても米粒などが編み目にはさまったりして、洗うときに気になっていましたが、これは細長い縦スリットなので、お米や食材がはさまりにくくなっています。水ぎれもいいので、洗ったあと、乾くのも早いですね」
撮影・竹内章雄/構成&文・海出正子