じょう・もとほ=スタイリスト。ベルギーで食ともてなしを学び、雑誌や書籍で活躍する。
城さんはベルギーにいたとき、最小限の数の洋食器で暮らしたことがあり、そのとき使っていたスープ皿が何にでも使える便利なものでした。
今回ご紹介するのは、そのお皿のフォルムに近い日本製のもの。程よい深さがあってリム(縁)の幅が広すぎず、盛りつけやすいのが特長です。
スープ、パスタ、カレー、サラダなどに幅広く使えて、柔らかな白い色に料理が鮮やかに映えます。
12年ほど前、ベルギーのレストランで働いていたとき、城さんは小さなアパートでミニマムな生活をしていました。
「レストランの仕事なので、家でごはんを食べるのは毎日の朝食と休日の食事くらい。そこで、のみの市でスープ皿とデザート皿、マグカップとグラスを買って暮らし始めました。朝食には温かいスープにパンを添えたり、シリアルとフルーツにミルクかヨーグルトをかけたり。休日にはレストランで余った食材をもらってきて、パスタやシチューなどをつくっていました。このとき買ったスープ皿はどんな料理でも盛ることができたので、その1枚で済んで大助かりでした」と話す城さん。帰国後、そのお皿の便利さが忘れられず、同じようなものを探したそう。
「スープ皿と一口にいっても、深さがありすぎたり、リムの幅が広かったりと、なかなか気に入ったものが見つからなくて……」
やむなく、フランスやベルギーでヴィンテージの同じようなスープ皿があると買い足していたとか。ところが最近、日本で同様のフォルムのものを発見! それを今回ご紹介します。
このプレートは100年以上の歴史を持つ日本の洋食器メーカーNIKKOが、新しく展開した“REMASTERED”というコレクションのアイテム。これまで生み出してきた洋食器のアーカイブの中から、時代を超えて使い続けられる普遍的なアイテムを厳選し、再調整したもの。材質は丈夫なファインボーンチャイナです。城さんが選んだ22㎝のディーププレートは、もともとはホテルのウエディング用にデザインされたスープ皿。それをレストランや家庭で幅広く使えるように再調整したものです。リム幅を狭めにすることで料理をのせるスペースを広くし、立体感のあるミニマムなデザインに仕上げました。
「このプレートはなんといっても、程よい深さがとてもいいのです。底の平らな面が大きいので、スープなどの液体以外に、パスタやサラダなど汁けのない料理も盛ることができます。1枚でスープ皿と平皿の両方の役目をしてくれるわけですね。どんな料理も盛りつけやすいのが、最大のおすすめポイント。リムの幅が広すぎないので、誰が盛っても絵になる感じですね。白の色も温かみのあるやさしいトーンで、料理の色を引き立ててくれます」
このプレートはとても丈夫で、用途も幅広いので、毎日、気軽に使うことができます。電子レンジや食器洗い乾燥機もOK。コンパクトに重ねられるので、収納もスペースをとらずに便利です。
撮影・竹内章雄/構成&文・海出正子