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Vol.11

今月の「雑貨」=
オリーブの小さな乳鉢と乳棒

選んだひと
城 素穂

じょう・もとほ=スタイリスト。ベルギーで食ともてなしを学び、雑誌や書籍で活躍する。

粒こしょうをゴリゴリと粗くつぶし、焼いた肉の上にパラリ。途端に香りがふわっと漂い、さらに食欲がそそられて……。スパイスにはごく少量でも料理をおいしくするチカラがあります。
今回ご紹介する乳鉢は、スパイスなどをつぶせる小さな道具。素材はオリーブの木で、おそろいの乳棒もついています。見た目もかわいいので、キッチンに置いてもすてきです。
料理の仕上げにサッと、スパイスの鮮烈な香りをプラス。いつもの料理が一段と味わい深くなるはずです。

 城さんがオリーブの木でつくられた乳鉢と出合ったのは、イタリア・シチリア島在住の料理研究家との仕事がきっかけでした。
「それまでオリーブ製品といえば、カッティングボードか木べらくらいしか知らなかったので、初めて見た乳鉢をどう使うのか興味津々でした。彼女が使っていた乳鉢は、今回ご紹介するものより一回り大きいものでしたが、さまざまな食材をつぶしたり混ぜたりと大活躍。フードプロセッサーやミルとはまた違う、手作業ならではの食感と香りがいいなあと思いました」
 そこで城さんもさっそく乳鉢を購入。以来、ずっと愛用していますが、スパイス用にもっと小さいサイズも欲しくなり、今は大小2つを使い分けています。

 今回ご紹介するのは、この小さいサイズのほうの乳鉢と乳棒です。これは1892年創業のフランスのベラール社の製品。この会社は1世紀以上にわたり、職人技を重んじながら現代生活に合ったデザインのオリーブ製品をつくり続けています。素材は長い年月を経たオリーブの巨木で、もう果実をつけなくなった古木を利用しています。オリーブの木はほかの木材と比較して非常に気密性が高くて硬いため、とても丈夫。毎日使うキッチン道具としては最適の素材です。今回の乳鉢と乳棒は、北アフリカのチュニジアで生産されています。

「オリーブの古木を分厚くくりぬいてつくられた乳鉢は、貴重なものですね。これは小さいながらもしっかりと安定感があり、乳棒で少し力を入れるだけでスパイスなどを好みの粗さにつぶせます。乳棒は両端がそれぞれ違う太さになっているので、つぶすものによって使い分けも。乳鉢は深くくりぬかれているので食材が飛び散りにくく、香りを楽しみながら作業できます。小さいのでキッチンに出しっぱなしにして、サッと使えるのも気に入っています」

   

 城さんはこの乳鉢でスパイスのほか、にんにく、ナッツなどをつぶしたり、バジルやミント、青じそなども軽くたたいて香りをたてるとか。洋風に限らず、中華料理や和食の食材にも幅広く使っています。
「いちばん多いのは、やはり粒こしょうですね。粗びきからパウダー状まで自在に調節できて便利です。クミンやマーボー豆腐に欠かせない花椒(ホワジャオ)は、軽くいってからつぶすとより香りがたちます。意外な発見としては、ごまも乳鉢で細かくできるんですよ。ナッツは包丁で刻むと飛び散って大変ですが、乳鉢なら大丈夫。使ったあとは、乾いた食材の場合は粉けを払うだけでOK。にんにくやハーブなどの場合は、サッと水洗いして水けを拭き、干しておきます」

撮影・竹内章雄/構成&文・海出正子

今回紹介した商品

オリーブの小さな乳鉢と乳棒

サイズ(約)
[乳鉢]
外径7cm・内径4.6cm・高さ5.4cm
[乳棒]
全長10cm・握り部分径1.7cm・
下部直径3.4cm・上部直径2.4cm
価格
3,740円(本体3,400円)
取り扱い
チェリーテラス

同商品はこちらに掲載されています。

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