TOPICS 杏×東出昌大 連続テレビ小説「ごちそうさん」対談

写真 杏×東出昌大
last updated Feb.1,2014.

出会った瞬間から、互いに影響を与え合ってきため以子こと悠太郎。ふたりは数々の騒動を乗り越えて、夫婦としての絆を深めていきます。そんなふたりの約20年を、杏さんと東出昌大さんが現場のエピソードを交えて振り返ります。

“ふたりでひとつ”の
夫婦なんです

 現場は最初からずっとリラックスした雰囲気だよね。
東出 僕たちは前に共演していたから。それ以外のキャストはどんどん入れ替わっているけど、皆すぐ仲よくなる。
 小さい子どもたちもあっという間に現場に慣れて、2日目からいたずらしていた(笑)。
東出 10代前半の子どもたちを演じる若手もすぐ打ち解けて、本当に家族みたい。
 やっぱり、ご飯を食べるシーンが多いからじゃないかな。皆で一緒に食べると、早く仲よくなれるような気がする。
東出 しかも、料理がどれも本当においしい。おかげで「おいしそうに食べる」っていう芝居も自然にできるし。
 私の場合、め以子が作った設定の料理が多いから、味を知っているはずの私が「何これ、おいしい!」って表情になったらおかしいんだよね。ついそうなりそうで困っちゃう(笑)。
東出 ところで、め以子と悠太郎って、最初出会った頃は、すごく反発し合っていたよね。
 お互いそれまで見たことがない人物だったんじゃない?
東出 確かに正反対。陰と陽、プラスとマイナスって感じ。でも、自分とは違うからこそ惹かれ合ったわけで……。
 ふたりが出会ったことで、め以子は、おいしいものを作って人を喜ばせるという、一生を通じたテーマを見つけることができたし、悠太郎は家庭の温かさに気づくことができた。それまで持っていなかったものを、お互いに与え合ったんだよね。
東出 だからふたりは、出会うべくして出会った気がする。オープニングテーマの「突然 偶然 それとも必然?」って、まさにふたりのことだなって思う。
 「予報通り いかない模様」ってところもぴったりだよね。
東出 その後、大阪編になってからも悠太郎はなかなか人前で本心が出せないままだったよね。
 そうだね。だから、悠太郎が市場で源ちゃん(源太)に「うちの女房はごっつうかいらしいんや!」って叫んだのにはちょっとびっくりした(笑)。
東出 いやー、あれは、演じていても、顔から火が出るほど恥ずかしかった! しかも見たら、め以子がニヤニヤ笑ってて。
 ふふ(笑)。め以子はまさにヒロインの気分だったから。
東出 東京編のクールな悠太郎からは想像もできない。でも、悠太郎が源太に焼きもちを焼く気持ちは、よくわかる。
 源太とめ以子は幼なじみだから、あとから出会った悠太郎はどうしても入り込めないものを感じてしまうんだよね。
東出 そうそう。しかも悠太郎って、実は自分に自信がないんだと思う。だからいつまでもあのふたりの関係が心配になっちゃうんじゃないかな。
 め以子のほうは、大阪に来てからずっと悠太郎のために頑張ってきたのに、正蔵を許すよう悠太郎を説得したとき、悠太郎から「君は西門の人間じゃないから」と言われて、初めて心がぽっきり折れてしまったよね。
東出 ああ、あれは夫婦の最初の危機だったね。でも、め以子が家出してしまって、め以子が“たったひとつの宝物”だって、悠太郎はよくわかった。
 悠太郎が「僕を見捨てないで」って本心をさらけ出すあのシーンは、め以子にしてみれば、完璧じゃない、かっこ悪い悠太郎を初めて見た瞬間だったんじゃないかな。
東出 悠太郎にとって、人に自分の気持ちを正直に伝えるのって、恥ずかしいし、すごく苦しいことだから、いっぱいいっぱいになりながら頑張ったんだと思う。
 そんな悠太郎をめ以子もしっかり受け止めて、夫婦にとって、〝第一関門突破〟みたいな瞬間だった気がするな。
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