この物語が始まるのは、第1次世界大戦が終わって、まだ世界中が悲しみに沈んでいた頃。たくさんの人が大切な人を失い、幸せを求める気持ちが誰の心の中にもあったと思います。そんなときにエリーはマッサンに出会い、恋に落ちます。私自身もそうですが、大きな夢を持つ男性は、女性にとってすごく魅力的です。マッサンには子どもっぽいところがあるし、仕事に夢中になるとエリーの話なんて全然聞いてくれない。でも、結婚生活って、そんなものじゃないかなとも思います。何より、マッサンからは、エリーを心から必要としていることがすごく伝わってくるんです。
鴨居(欣次郎)さんも、エリーにとっては大切な頼れる人です。マッサンがかまってくれなくて寂しいときは、エリーの話を聞いて、何かと面倒を見てくれます。彼はカリスマ性があって、名優、ケーリー・グラントみたいなイメージ。鴨居さんとは、やがて家族ぐるみのつきあいを育んでいきます。
マッサンを演じる玉山鉄二さんは、私の心配事まで全部背負ってくれるような方です。だから、最初にお会いしたときは、「シャーロットさんがうまくできなかったら僕が支えなければ」とプレッシャーを感じているように見えました。そして収録が進んだ今、彼はいつも私を気づかってくれ、互いに信頼感が生まれて、とてもいい関係で芝居ができています。
玉山さんには、役者としても刺激をもらっていて、学ぶところがたくさんあります。だから私もお返しをしたい。そして、玉山さんを笑わせたい、楽しくさせたいと思っています。伝統や文化は違っても、笑いに垣根はありませんから!
田中優子役の相武紗季さんとは英語でおしゃべりしましたし、一緒に芝居をするのがすごく楽しかった! 冷静な心を持った方で、私がバタバタして大変なときでも、彼女が一緒なら落ち着くことができました。亀山早苗役の泉ピン子さんはすばらしい女優さん。泉さんとはスマートフォンの辞書機能を使ってコミュニケーションしました。それから巡査役のバッファロー吾郎Aさんも大好き。彼とキャサリン役の濱田マリさんのコンビが面白くて、ずっと笑ってばかりなんです。
私は、芝居は自分が演じる役柄と闘うことから始まるのだと思っています。現代に生きるアメリカ人女性のひとりとして、最初に台本を読んだとき、エリーが弱い女性に描かれているように感じました。なぜそうしなくちゃいけないの? と思う場面もあります。そんなときは、深いところにある彼女の強さや、どうしてそう描かれるのか、その理由を見つけるようにしています。ときには、ワーッと感情を出したくなることもありますけどね(笑)。
でも、エリーというキャラクターを真剣に生きていると、彼女からたくさんのことを教えられます。いつも明るいほうを見て、否定的な考え方をしないその姿勢を、自分の中に吸収して演じていきたいですね。そして、私がエリーを生きる中で感じた気持ちを、視聴者の皆さんと共有できたらうれしいです。
日本は、私にすばらしいチャンスをくれました。だから、演じることでお返しをしたい。収録が終わる頃には、さらに強くなった私をお見せできたらいいなと思っています。