あさが白岡新次郎に嫁ぐのは15歳のとき。子どもがお嫁に来ちゃったって感じですよね。型破りな女の子ですから、他の夫婦より遠回りをするかもしれないけど、少しずつ信頼を深めてふたりなりの歩調ですてきな関係を築いていきます。新次郎役の玉木宏さんとは役柄上いっしょにいる時間が長いし、とっても頼りにしています。
お姉ちゃんのはつのことは、お姉ちゃんがうれしいときは、あさもうれしいというくらいに大好き。姉であり親友でもある存在です。はつ役の宮﨑あおいさんはとても静かな世界にいる方で、一緒にいると私も落ち着いた気持ちになります。
あさの両親を演じる升毅さんと寺島しのぶさんのお芝居からは、娘を思う揺るぎない愛情を感じます。中でも母の梨江があさに言った「やらかい心を忘れんと」というセリフが胸に響いて、あさといっしょに私の心も震えました。おふたりには、収録以外の時間も、お父はん、お母はんと思って接しています。私が遠慮して、それがお芝居に影響したらもったいないと思ったんです。ずいぶんとなれなれしい人だなと驚かれたかもしれませんが(笑)。
雁助役の山内圭哉さんと亀助役の三宅弘城さんからは目が離せません。面白くて機転がきいて、しかも引き出しが多い。私は常にあさでいるようにしているので、「亀助さん、飲み物買ってきて」なんて甘えてますが、素の自分ならそんなこと言えないくらいに尊敬しています。
時代が幕末期から始まりますから、現代物より扮装に時間がかかるし所作にも気を遣います。でも逆に助けられる部分もあって、着物やかつらを身につけることであさになれるんです。着物は着崩れしないようにすることが大前提ですが、あさは走り回っている人なので、私も大股でスタスタ歩いています。
ロケで印象に残っているのは、嫁入り前のあさが、子ども時代から世話をしてくれたうめと相撲をとるシーンです。あさの胸には、家の都合で嫁に行かなければならない理不尽さやはつへの愛情、うめと別れる寂しさなど、いろんな思いが入り乱れているわけですが、実際には収録が始まったばかり。宮﨑さんやうめ役の友近さんともまだお芝居の積み重ねがなく、それでもここはすばらしいシーンにしなくちゃいけない。もう、自分の中で作って作って、こねくり回して爆発! という感じでした(笑)。でも、あさの大事な部分を、ここで一気に自分の中に入れることができたのはよかったと思います。
私はどの作品でもあまりオンオフを意識していなくて、常に自分と役柄が混じり合っている感覚があります。今回は期間が長いだけになおさらです。あさが元気で楽しい女の子なので、そのことにストレスはないし、現場でリフレッシュできるくらい楽しい瞬間がたくさんあるので、それに支えられています。
あさは実在した女性実業家がモデル。たくさんの修羅場を乗り越えて女子大学校設立に貢献するなど、女性が社会に出ていくために力を尽くした方です。こんなすばらしい女性がいたことを、この作品を通してお伝えできたらうれしいです。そして、女性視聴者の皆さんに、このドラマを見たら元気になると思っていただけるよう頑張ります。