人気・実力を兼ね備えた作家たちが贈るWeb限定連載や、豪華インタビューなど。
NHK出版が刊行する 文芸書・ドラマ関連書籍  をご紹介するサイトです。

インタビュー

連続テレビ小説「とと姉ちゃん」
高畑充希(小橋常子役)

最終更新日 2016.4.15

ととの代わりに家族を守りながら働く女性を体現していきます!

人のために行動し 人を尊重できる人

 朝ドラへの初出演は、3年前の「ごちそうさん」です。1年近い収録を通じて共演陣が本当の家族のようになり、ドラマの話を「昔はああだったね」とリアルな思い出として語れる。そんなめったにできない経験をさせていただきました。出演後、舞い込む役の幅が広がったという意味でも、ターニングポイントとなった作品です。実は、「次の転機は30歳くらいかな、その頃にまた朝ドラに出たいな」と思っていたんです。24歳でヒロイン役で再出演できるとは、不意打ちで次の急カーブに遭遇した気分です(笑)。

「とと姉ちゃん」の物語は、テンポがよく笑いが満載です。
ねらった笑いではなく、キャラクターたちの関係性からにじみ出る、日常のおかしみ。セリフがない役にもリアクションが委ねられるような台本なので、意外な方向に膨らむシーンも多いんです。悪い人がほとんど出てこないというのもこのドラマの魅力です。
常子は、喜怒哀楽が分かりやすく、とにかく明るい。いつも人のために行動しているので、「こんな神様みたいな人をリアリティーを持って演じられるかな」と一抹の不安がありましたが、脚本の西田征史さんから、「完璧な人間ではない。人のためにという思いが空回りしてウザがられることもある」と聞いて、気持ちが楽になりました(笑)。
演じていてすてきだなと思うのは、人の気持ちを尊重し、相手が誰であっても本気で接するところ。そこに亡きとと(父)のDNAを感じます。ですが、とと役の西島秀俊さんと共演したのは、子役の内田未来ちゃん。羨ましい……(笑)。いっぱい妄想して、ととの記憶を脳内補完しました!

常子が目指したのは 精神的なととの代わり

 常子の生きがいは、ととの代わりに家族を守ること。あだ名が〝とと姉〟なので、男っぽいガサツな人だと思われるかもしれません。私もそんなイメージを持っていましたが、監督から、日常の食事の作法や履物のそろえ方など、ひとつひとつ丁寧に、と言われました。戦後、暮らし方の手本となるような雑誌を創刊した人だからと。常子が目指した父親像は、あくまでも精神的なものなんです。
常子は、女学校に通っているときから仕事に積極的です。かか(母)や妹たちを支えるんだという思いとともに、クリエイティブな人なので、「こんな事業に挑戦したらおもしろいんじゃないかしら」という興味や好奇心もあります。また、この時代には珍しいキャリアウーマンの祖母・滝子への憧れもひとつの原動力になっていたと思います。
常子の独創性は、私にはないもの。私は台本などベースになるものがあって初めて表現できるタイプなんです。だからなおさら、何かを生み出すシーンはワクワクしますね。
ドラマは戦争を経て、戦後でさらに広がりを持って描かれるそうです。「ごちそうさん」で描かれた戦時中の暮らしは、食べ物も着る物も粗末になり、人間関係もギクシャクして、演じていてしんどかった覚えがあります。常子も当時のしんどさを味わうひとりですが、戦後、女性たちの先陣を切って社会に進出し、暮らしに役立つ雑誌の創刊に至ります。
戦争や災害が起こったとき、遊びや娯楽は、なくてもいいものと見なされがちです。音楽も、芝居も、そして雑誌も。でも実際は、人に元気や感動を与える、なくてはならないものだと思います。ある意味、雑誌作りと役者の仕事は似ている。心の復興に貢献する役を演じられることに、喜びとやりがいを感じています。

キラキラ、ギラギラ演じていきたい

ドラマのモチーフとなっている『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子さんは、20代半ばで会社を設立したそうです。今の私と同世代とは、なんというバイタリティー! キラキラ、ギラギラ演じたいですね。雑誌の成長に合わせ、当時のファッションなども描かれるそうなので、3姉妹の衣裳の変化も楽しみにしています。
猪突猛進タイプの常子の暴走を止めてくれる、冷静な鞠子。姉たちを見ながら要領よく立ち回る〝ザ・末っ子〟の美子。娘たちをふんわり包み込むかか。4人のバランスは絶妙です。かか役の木村多江さんと私たち3人娘も仲よしで、一緒にいる間はしゃべり通し。今や役と本人の境がなくなっています(笑)。
収録は順調です。和やかな現場の雰囲気は、視聴者の皆さんにもきっと伝わるはず。半年間、毎回の放送を楽しんでいただければと思います!

(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 とと姉ちゃん Part1』より再録)

プロフィール

たかはた・みつき

1991年生まれ、大阪府出身。2005年、山口百恵トリビュート・ミュージカル「プレイバックpart2~屋上の天使」で主演デビュー。その後、多数の舞台やドラマ、映画で活躍。第23回読売演劇大賞では「いやおうなしに」と「青い種子は太陽のなかにある」で杉村春子賞を受賞。NHKでは連続テレビ小説「ごちそうさん」、大河ドラマ「軍師官兵衛」などに出演。16年は、主演映画「植物図鑑」が公開予定。今後の出演作に、主演ミュージカル「わたしは真悟」(2016年12月~) 、映画「怒り」(2016年9月17日公開) を予定。