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インタビュー

連続テレビ小説「ひよっこ」
有村架純(ヒロイン・谷田部みね子 役)

最終更新日 2017.07.31

取材・文=髙橋和子
撮影=Sai photograph

クランクインから半年以上が過ぎました。
有村架純さんは、どんな思いで日々の収録に臨んでいるのでしょう。
みね子と出会って、みね子を生きて、
今、どんな気持ちが芽生えているのでしょう。

最高の現場で心を込めた芝居を

 ドラマは後半に突入。みね子役の有村架純さん、疲れは出ていませんか? 何しろ主役のシーン数は膨大です。それでも有村さんは、セリフを完璧に覚え、リハーサルから台本を持たずに芝居に臨んでいますね。

 「正直、体調が万全でないときなど、今日は無理かもしれない……ってくじけそうになることもあるけど、なんとかふんばってスタジオに入ると、今日も気持ちを込めて演じようと奮い立つんです。根を詰めた状況の中でも、スタッフの方たちが本当に温かく、お芝居に集中できる雰囲気を作ってくださるので」

 キャスト陣や制作陣は口々に、「有村さんは、芝居への取り組み方が真摯で謙虚で、自然と応援したくなる!」と語っています。

 「それも周囲の皆さんのおかげなんです。共演者の皆さんが、『あのシーンのみね子はよかったねぇ』と私を励ますように言ってくださるので頑張れる。それから、茨城ロケで出会った地元の方々も、私のパワーの源です。お芝居を通じて恩返しをしたい」

 みね子を演じるうえでは、喜怒哀楽をはっきり表現する「足し算の芝居」を心がけてきたという有村さん。

 「感情を足しすぎると、大げさで取ってつけたようなお芝居になってしまうので、足し加減を慎重に見極めています。最近よく実感するのは、思いも寄らぬ懐かしい感情に突き動かされる瞬間です。みね子の茨城時代や、ラジオ工場時代を思い出して、じわっと涙が出たり、笑いが込み上げたり……。これまで重ねてきたシーンが、思い出として私に深く刻まれているからでしょうね」

 みね子は、勤務先の倒産という試練を味わい、再就職先のすずふり亭でもいろいろな経験を重ね、恋愛もします。演じていて、みね子の変化を感じますか?

 「少しずつ大人になっていますね。ただ、根本は変わっていない気がします。自分のことは後回しにして周りを思いやるところや、何事も素直に考えようとするところです。仕事などでうまくいかないことがあると、ひねくれて考えてしまうことってありませんか? 私自身、そんなときがあります。でも、みね子を演じていると、屈折した気持ちがリセットされて、初心に戻って頑張ろう、好きで始めたこのお仕事なんだから頑張ろうと思えるんです」

大人の自由さが出てきたらいいな

 実は有村さん、放送がスタートする前後は、食欲が落ちるほど気持ちが張り詰めていたそう。

 「朝が来てほしくないって思ったこともあって……、今までと比べものにならないプレッシャーを感じていました。でも、みね子という役に向き合っていく中で、私もいろんなことがポジティブに考えられるようになっていったんです。貴重な機会を与えていただいたな、自分の限界に挑戦するチャンスだなって」

 終盤に向けて、どんな目標を掲げていますか?

 「これまでのみね子は、家族を支えなければという思いもあって、いろんなことを我慢してきましたよね。でも、20代にさしかかり、もう少し自由に自分のやりたいことや楽しみを見つけていってもいいと思うんです。そういう気持ちを私が持つことで、お芝居にも自由さが出てきたらいいなと思っています。ひとりでも『ひよっこ』を楽しみにしてくださる方がいると思うと力が出ます! 最後まで応援していただけたらうれしいです」

(『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 ひよっこ Part2』より再録)

スタイリング=平野真智子 ヘア&メイク=佐藤 寛

プロフィール

有村架純(ありむらかすみ)

1993年生まれ、兵庫県出身。映画「ビリギャル」で第39回日本アカデミー賞優秀主演女優賞など複数受賞。映画「何者」、ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」、NHKでは連続テレビ小説「あまちゃん」など、出演作多数。2014年、映画「思い出のマーニー」で主人公の声を担当。16年、第67回NHK紅白歌合戦で紅組の司会を務めた。17年は、映画「3月のライオン」「関ヶ原」「ナラタージュ」に出演。