1950-60年代 きょうの料理と正月料理

スペシャル⑥|NHKテキストクロニクル

NHKテキスト発売開始90年&連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」放送を記念し、テキストの歴史を振り返る特集〈NHKテキストクロニクル〉がスタート! NHK放送博物館でおこなわれた貴重な対談インタビューや、1930-60年代までの特徴的なテキストを取り上げた企画など、全6回でお届け。最終回は今までと少し切り口を変えて、食にフォーカス。1958年創刊の『きょうの料理』に掲載されていた、正月料理5年分をピックアップし、当時の食文化や時代背景を探りたいと思います!

UP DATE | 2021.12.14

食文化の変貌と『きょうの料理』創刊

前回の語学テキストの記事でもお伝えしましたが、日本は1950年から1954年が戦後復興期、1955年から高度経済成長期でした。食文化に関しては、高度経済成長期に大きく変貌をしていきます。なんと言っても、冷蔵庫と自動電気炊飯器が一般家庭に普及したからです。インスタントラーメンが初めて発売されたのも1958年、スーパーマーケットが増加したのも1963年頃と言われています。

そんな中、1957年11月にテレビ番組「きょうの料理」がスタート。料理とテレビという媒体は好相性で、番組は現在まで続いています。また1958年4月にはテキスト『きょうの料理』(5・6月号)が創刊しました。

高度経済成長期という、日本の食文化が大きく変わるタイミングで生まれた『きょうの料理』。今回は現在でも毎年高い人気を誇る「正月料理」に注目し、当時のレシピ5年分を追いかけていきます。

テキスト1:1958年発刊『きょうの料理』

『きょうの料理』が創刊した1958年から、正月料理は紹介されてきました。1958年はインスタントラーメンが初めて発売された年だったためでしょうか、「即席正月料理」が紹介されていました。目を惹くのは缶詰のオイルサーディーンを使った洋風なレシピ。トーストした食パンにバターと練りがらしを混ぜたものを塗り、オイルサーディンをのせ“縁起の良い”末広型にカット。仕上げにマヨネーズソースをかけ、レモンをあしらえば完成です。簡単にマネできそう&今取り入れても新鮮な一品ではないでしょうか。

テキスト2:1959年発刊『きょうの料理』

1959年の正月料理は前年と変わって、黒豆や数の子など、伝統的なおせち料理を掲載していました。この年は渡辺製菓の即席しるこが販売され、CMと共に人気になったため、和食に原点回帰したのかもしれませんね。左のページには対照的にクリスマスレシピが。写真を見るとわかりますが、メインディッシュのハムローフの上に書かれたメリークリスマスの文字が、なんとも味わい深いです。

テキスト3:1960年発刊『きょうの料理』

1960年の正月料理は、「押しずし」。この年は多くのメーカーから即席ラーメンが発売され、国産初のインスタントコーヒーが発売されるなど、食のインスタント化が進行。また家庭用ラップも初めて発売されました。そんな背景を受けての、保存がきく&手軽に食べられる「押しずし」に注目したのかもしれません。それにしても毎年バリエーションに富んでいますね……。

テキスト4:1962年発刊『きょうの料理』

1962年の正月料理レシピは、牛肉のごぼう巻きといかのこんぶ巻き。巻きで揃えたのも気になるところですが、牛肉の料理はご飯のお供になりそうな一品です。というのも1962年は、国民1人につき1年あたりの米の消費量が118,3kgと、米の消費がピークをむかえた年でもあります(それ以降は減少傾向を辿ります)。お正月に最もお米をたくさん食べていた年だったのかもしれません。

テキスト5:1963年発刊『きょうの料理』

1963年はページのレイアウトも変わり、見開きで1品を掲載。そして正月料理の定番中の定番である、おせち料理を紹介しています。写真を見ても分かるように、一皿にまとまる量のコンパクトなおせち料理です。1963年はスーパーマーケットが急増し、冷蔵庫の普及率が約40%になるなど、料理の幅が広がっていった年とも言えます。だからこそ、あえて最もスタンダードな料理を選んだのかもしれません。

他にも食にまつわるテキストを発見!

現存する最古の食関連のテキストが1936年発刊の『季節の漬物』。きのこにまつわるエピソードが秀逸でした。
女性向け趣味系テキスト『女性教室』シリーズの料理特集号。左が1961年、右が1958年発刊。共に12月号です。
先ほどの『女性教室』(1961年)より。クリスマス料理のメインとして、えびと生しいたけのトースト詰めを紹介。

1950-60年代の正月料理について、いかがでしたでしょうか?
ひとくちに正月料理といっても多種多様ですし、料理ごとに時代背景とのつながりを想像すると面白いですよね。〈NHKテキストクロニクル〉では、貴重な対談や他の時代のテキストも紹介しています。ぜひご一読ください。

OTHER CHRONICLE

【編集後記】

NHKテキストの90年の歩みがわかるスペシャルサイトをご用意しました。
進化していく勉強のスタイルについて、ぜひご覧ください。
https://www.nhk-book.co.jp/pr/text/chronicle.html

STAFF

  • Text&Edit : Shun Inoue

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