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概要

恩田陸「太陽の末裔」:変死体、建築家の日誌、行方不明の留学生の手記。日本と南米をつなぎ、古代インカ・マヤ文明の謎と人類の未来を描く、恩田陸待望の長編伝奇小説!

12序章に代わる三つの風景まっているのだ。そのことがこの発見に?つながった。顔の見えない被害者が亡くなってかなりの時間が経つと思われるが、床が抜け建物が傾いていなかったら、まだ当分見つからなかったかもしれない。「自殺ですかね?」「わざわざ重い砂を運び込んでか」「じゃあ、殺人ですか?」「わざわざ重い砂を運び込んで、か」 ベテラン職員は溜息をついた。「スコップがいるな。車にあるから、持ってくる」 そう言って玄関に向かった職員は、ふと思い出したように警官を振り向いた。「そうだ、知ってるか?」「何をですか」「今日は、世界が終わる日なんだそうだ」「今日││」 警官は、流しの横に貼ってある年間カレンダーに思わず目をやった。 二〇一二年。 続いて腕時計に目をやる。「十二月二十一日。なんかありましたっけ?」 「マヤ文明では、世界の終わりは今年の今日なんだとさ」