ブックタイトルNHK出版|WEBマガジン|太陽の末裔
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恩田陸「太陽の末裔」:変死体、建築家の日誌、行方不明の留学生の手記。日本と南米をつなぎ、古代インカ・マヤ文明の謎と人類の未来を描く、恩田陸待望の長編伝奇小説!
13太陽の末裔「へえー。ノストラダムスも不発でしたけど、そっちも不発っぽいですね」 職員は肩をすくめ、外に出ていった。 世界の終わり。 警官は、もう一度部屋の中で揺れる電灯を見た。ずっと点つけっぱなしだったのだろう。蛍光灯が切れかけて、時折オレンジ色に点滅する。 あの死体は、何を最期に見たのだろう。 そう考えた彼に応えるかのように、ひからびた腕が動いた。「わっ」 カメラを構えていた職員が慌てて飛びのくと、不気味な音を立てて、部屋の中の砂が、更にざあっとこちらに流れ出してきた。証拠 この庭の前に立つと、あまりの細長さに違和感を覚える。 例えば、映画のスクリーンは人間の視界を再現した、人間の視野にすっぽり納まる形になっている。あの形だからこそ、どっぷり感情移入もできるし、ハラハラどきどきのサスペンスを味わえるのだ。 日本の庭も、概ね映画のスクリーンに似た形で鑑賞できるようになっている。 日本家屋の部屋の中で畳に座り、襖ふすまや障子を開け放った時、軒や柱が額縁の役割を果たし、