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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 12/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

12一代の晴れ舞台だって、よく言うじゃん。ゴンドラに乗って新郎新婦登場……とか、やんなくていいの?」他にもスモークを炊きまくるとか、最低三回はお色直しするとか、キャンドルサービスで各テーブルを回るとか。「そう言ってくれる気持ちはありがたいけど、私の晴れ舞台は、そんなところじゃないから」美智子はきっぱりと言った。彼女には一流のインテリアデザイナーになるという夢があるので、その業界で認められた時が、自分の晴れ舞台だという意識なのだろう。「そもそも、うちの家族は豪華結婚式否定派よ。式でたくさんお金を使うなら、その分は取っておいて、後の生活のために使った方がいいって考えなの」なるほど、そういう考え方もある。選択は個人の自由だが、美智子のお父さんなら、そういう実を取る考え方の方が似合っている気がする。トモローがそう言うと、美智子はニヤリと笑った。「でもホントは、私に感謝の手紙なんか読まれて花束なんかもらったら、大泣きしちゃうからよ」「あぁ、お父さんなら、そうかもね」確かに、あのお父さんなら、そうじゃないかと思う。「ところでトモくん……結局、結婚するのはかまわないってことで、いいのね?」