tomorou003

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/16

電子ブックを開く

このページは tomorou003 の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14「もちろん結婚したいって言うんなら、反対はしないよ。トモローくんなら、俺も賛成だ。でも……だからこそ、もらうのあげるのなんて言葉は使いたくないんだ。そうだな……美智子の相方になりたいって言うんなら、いいかな」「わかりました。じゃあ、僕を美智子さんの相方にさせてください」 本当に漫才みたいになってきた……とトモローは思ったが、そこにはあえて目をつぶった。「うん、いいだろう。美智子をよろしく頼むよ」 お父さんがそう答えて、あっさりと話がまとまる。「おめでたいわぁ、じゃあ、みんなで乾杯しましょう」 そう言ってお母さんは席を立つと、ビール瓶と人数分のグラスを持って戻ってきた。(え……こんなのでいいの?) さすがに拍子抜けを感じるものの、無事にクリアできたのは喜ぶべきことだ。「でも、お父さんにお母さん……もしかすると忘れておられるのかもしれませんけど、僕、今は無職なんですよ。いいんですか」「あぁ、確かにそうかもしれないけど……美智子の話だと君が家に入って、家のことをやってくれるそうじゃないか」 お父さんは、こともなげに言った。「それだったら、何も問題もないだろう。世間の男と女がひっくり返っただけのことだ」「それは、そうですけど」