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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 15/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

15「実はな、トモローくん……俺は君がそう言い出してくれたことを、ありがたく思っているんだよ」「どうしてですか?」「キミも会社勤めしていたからわかるだろうけど、この世の中は、何だかんだ言って、女性には不利にできているもんだ。今でも女性は出世させないとか、大事な仕事は任せないなんて公言している会社は、ゴロゴロあるじゃないか」 幸いトモローのいた会社はそうではなかったが、世間ではよく聞く話だ。「そんな話を聞くたびに、俺は胸が痛んで仕方なかったんだ。美智子には果たしたい夢があるのに、女性というだけで、ないがしろにされてしまうのか……とね。そんな不公平な話が、あっていいものかね」 そういえば、このホームズが美智子に注いでいる愛情は、人並み外れていたことをトモローは思い出した。「だから、できれば美智子には、できるだけ男性と肩を並べて仕事ができるようにしてやりたかったんだ。そこでトモローくんが家に入ってくれたら、願ったりかなったりじゃないか」 つまり、これって──自分が美智子の“奥さん”になるってことか。「それに君だって男の端くれなんだから、もし美智子がへこたれてしまったら、肉体労働でも何でもやって、家を支えてくれるだろう? そう思うと、心強いよ」