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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

いの気合いがなきゃ、結婚する意味もねぇけどな。でも、とりあえず仕事だけは探せ。何なら、俺んとこの社長に頼んでやろうか? おまえみたいなヒョロヒョロでも、事務くらいできんだろ」「いや、それはありがたいけど……仕事は自分で探すよ」「絶対だぞ……それに結婚式も、ちゃんとしたのを盛大にやるんだぞ」「いや、結婚式はシンプルにやることになったから」 美智子と二人で決めたことを話すと、兄貴はいちいちウンザリした顔を浮かべた。「なんだよ、兄貴。俺たちが決めたことなんだから、そんな変な顔しないでくれよ」「いやぁ、おまえも進歩しねぇと思ってな……そんなに人の気持ちがわからないようなヤツが、小説なんか書けんのか」「どういうことさ」 小説を書く資質まで問われたとなると、黙ってるわけにもいかなかった。「結婚式が晴れ舞台じゃないなんて、そんなのウソに決まってるだろ。美智子ちゃんが、甲斐性ナシのおまえに、気を使ってるんだよ」 その無造作な言葉に、トモローは強い衝撃を受けた。今までそんなことを考えたことがなかったからだ。つまり、本当は美智子も“ゴンドラで新郎新婦入場”とか“お色直し最低三回”を望んでいる……と、兄貴は言いたいのだろうか。「決まってんだろ。やりたくない女なんか、いるわけねぇよ。おまえが頼りないから、美智