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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

その後のトモローの主夫としての暮らしぶりは、至って呑気なものだった。正直、こんなに楽をしていていいのか……と思うくらいだ。朝、会社に行く美智子を見送り、その後、部屋の掃除をする。と言っても、2LDKの狭いアパートなので、たいした手間はかからない。丁寧にやっても、一時間もあれば十分だ。それからワープロのスイッチを入れ、おもむろに小説執筆……となるのが正しい時間の使い方だが──主夫生活に慣れていくにつれ、別のことに時間を費やしてしまうことが少しずつ増えていったのは、ある程度予測できたことである。そもそもトモローは子供の頃から、夏休みなどの長い休みの時には、すかさずだらけてしまうタイプの人間だった。スタート時には、七月中に宿題を終わらせてしまおうとか、毎日を計画的かつ有意義に使おう……と殊勝に思ったりするものの、うまくいった試しはなかった。これは計画性云々よりも、基本的な性格の問題だろう。そんな人間が、いきなり多くの時間を持ったら、自分のしたい放題の生活になるに決まっている。ましてや本を読んだり、映画を見たりするのが好きと来れば、そちらに費やす時間トモローが太陽に吠えたワケ2