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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/20

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

(俺が父親に……ねぇ)出産の予定時期がおぼろげにわかった後でも、トモローには特に実感らしきものは湧かなかった。ただ、大変なことになりそうだ……という予感が胸にこみ上げてくるばかりだった。だから、特に騒ぎたてることもなく、兄のゴローにも、わざわざ報告の電話をかけたりはしなかった。耳に入れたのは、父親の法事の件で家に呼び出されたついでの折だ。「えっ、子供?」本題の話が終わった後、特に改まりもせずに言うと、ゴローは大きく目を見開き、一瞬絶句した。「もう……できたのか?」「やっぱり、ちょっと早いよね」「いやいやいや……サナエ、おーい、サナエ」それほど広くもないマンションなのに、ゴローはやたらと大きな声で、キッチンにいる義姉を呼んだ。トモローが太陽に吠えたワケ3