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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/20

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「何よ、そんなに慌てて。お義父さんが生き返りでもしたの」「そんなワケあるか。違うよ、こいつ、子供できたんだって」 うるさそうに部屋に入ってきた義姉は、その言葉を聞いて、パッと顔を輝かせた。 「ホント? やったじゃん、トモくん」トモローという名前が呼びにくいのかどうかは知らないが、義姉も美智子と同じように、トモローを“トモくん”と呼ぶ。「こいつ、この間結婚したかと思ったら……やっぱり人間、ヤレバデキルモンダナ」「下品よ」義姉のサナエが無慈悲にゴローの後頭部を叩く音が、けっこうな音量で響いた。「お母ちゃん、痛いってよぉ」「いい歳して、バカなことばっかり言うからでしょ」ゴローと義姉は同い年だが、二人の力関係を見る限り、なぜか圧倒的に義姉の方が強いようだ。もしかすると強気に出られない理由が兄貴にあるのかもしれないが、詳しいことはわからない。「トモくんも、お父さんになるんだ……それなら今日、美智子ちゃんも連れてくればよかったのに」その日は土曜で、美智子の会社も休みだったのだが、朝から実家に戻っていた。別にケンカしたわけでもなく、トモローが昼過ぎに兄貴の家に行くことが決まっていたので、それな