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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/20

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

ら自分は親元でノンビリしよう……という考えらしい。まだ体調が安定していないため、その方が気楽なのだという。「ミッちゃん、つわりが辛つらいらしくて」「あぁ、あれはキツイもんねー。私の友だちなんか、それで入院したぐらいだから」妊娠と出産に関することほど個人差の大きいものはない……と、後にトモローは実感するのだが、この時点では、まだすべてが初耳だった。「やっぱり入院とかした方がいいんですか」「それは人によるよ。その子は何も食べられなくなっちゃって、点滴するしかなかったから」それだけ言うと義姉はキッチンに戻り、お盆にコップと枝豆の皿を載せて戻ってきた。その後を二人の甥っ子が、一本ずつビールのロング缶を持ってついてくる。特に言われたわけでもないのに、ここは乾杯の流れだ……と読んで、黙って支度するのが義姉の美点である。「叔父さんのところに、赤ちゃんが生まれるんだってよ」兄貴の言葉に、二人の甥っ子が目をパチパチさせた。上の子が小学二年生、下の子が幼稚園の年長だ。「男の子? 女の子?」「そんなの、まだわかんないよ。なぁ?」 ゴローは子供の質問を、そのままトモローに丸投げしてくる。