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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 4/20

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

「もう少し大きくなったら、教えてもらえるらしいけど……ミッちゃんとは、聞かないでおこうかって話してる」「そうだね。生まれるまで、楽しみにしてるのがいいわよ」 義姉はテーブルの上にコップと皿を置くと、子供たちからビールを受け取ってプルトップを開けた。「おまえは、どっちがいいんだ?」こういう場合、自分の希望なんか関係ないとは思うが──実際、無事に生まれてくれるなら、男の子でも女の子でもいいと思っている。ただ、とりあえず顔だけは、地味でパッとしない自分より、美人だと褒められることの多い美智子に似てくれれば……と願っていた。「まぁ、そうかもしれんな」トモローが正直に心情を吐露すると、ゴローもまた素直にうなずく。ウソでも「そんなことはないぞ」くらいの一言は欲しかったところだが、そういう気遣いを兄貴に期待するのは間違っている。「予定日は、もう決まったの?」大人三人がビールで乾杯した後、義姉が尋ねてきた。「いや、まだです。夏頃に生まれるらしいですけど」「そう……まぁ、予定日なんて、いいかげんなもんだからね。うちだって最初の富ふ士じ朗ろうは十月半ばくらいだって言われたけど、なかなか出てこなくて、実際に生まれたのは十一月だし