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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 12/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

12からブツを取り出しながら起き上がる姿は、母の強さを感じさせつつ、どこか鬼気迫るものがある。「ミッちゃん、夜の授乳なんだけど……どうせ原稿書くために、遅くまで起きてることが多いんだからさ、俺がミルクをあげるよ。作り方も、ちゃんと知ってるし」何度かトモローはそう言ってみたが、美智子の答えは一貫して「NO!」だった。専門書や育児雑誌を読んでいると、赤ちゃんの育て方には、いろいろな考え方があるものだ……ということが、つくづくわかる。結果的に赤ちゃんがちゃんと育てばいいはずだが、その過程に対しては、意見がいくつにも分かれているのだ。たとえば母乳で育てるか粉ミルクで育てるか……ということだけでも、人によって考えは様々だ。好みの問題もあれば、現実的な事情で選択するしかない(母乳の出が悪いなど)場合もあるのだから、臨機応変にやればいいとトモローは思うのだが、中には一つの流儀に強いこだわりを見せる人もいる。「別に粉ミルクがダメっていうわけじゃないんでしょ」「うん、だって私が会社に行くようになったら、イヤでも粉ミルクに頼ることになるんだから……でも一緒にいられるうちは、できるだけおっぱいをあげたいのよ」育児書によると、母乳を飲ませてあげたり、赤ちゃんと見つめ合ったりすると、母親の体内でプロラクチンというホルモンが分泌され、母性が育まれるのだそうだ。もっとも赤ちゃ