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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

病院に赤ちゃんを見に来た帰り、兄貴は言った。「えっ、そういうものなの」「うちだって、上の子は親父につけてもらったし」兄貴の家の子供は、上が富士朗、下が裕也である。何というか、もう少し兄弟っぽく揃えてほしかった気もしたが、それはそれでよかろう。「特に美智子ちゃんのお父さんにとっては、最初の孫なんだから……丁重に頼んで、考えてもらえよ」あいにく斉藤兄弟には、内孫だの外孫だのという発想はない。特に財産があるわけでもなく、後継ぎの心配をしなければならないような家でもないので、生まれた子どもは、両家にとって等しく家族である。いくつかの候補に絞り始めていたトモローは少しガッカリしたが、兄貴の言うことも、もっともであるような気がした。「なるほど、確かに私の名前もおじいちゃんがつけてくれたって言うし、世間的には、そういうものかもしれないわね」その話をすると、美智子も赤ちゃんにおっぱいをあげながら頷いた。トモロー同様、そういう世事には美智子も疎い。「でも……うちのお父さんに頼んで大丈夫かな」美智子は不安そうに言ったが、お義父さんなら、そんな古臭い名前や突とっ飛ぴな名前は付けな