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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 6/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

けた挙句に若死にしてしまいそうな気もしてくる。ジャンヌ・ダルクにあやかった名前をつけると、人々を救うような偉業を果たしそうな気がするが、やはり悲しい末期を迎えてしまうように思えて、子供につけるのはためらわれてしまう……ということだ。「ちょっと考え過ぎのような気もしますが、まぁ、別に著名人にあやからなくてもいいじゃありませんか」実際、その時に人気絶頂の芸能人の名前を子供につける人もいるが、かなりリスクの高い賭けだ……とトモローも思う。その時は人気絶頂でも、子供が大きくなる頃には、どうなっているかわからないし、人気が陰っているくらいならいいが、何かとんでもないことを仕出かしていないとも限らないではないか。そういう意味では芸能人に限らず、現在生きている人にあやかった名前を付けるのは、相当な覚悟が必要であろう。「僕もそう思ったから、今度は画数中心で考えることにしたんだ。とにかく万事において最強の名前にしようと思ってね」お義父さんはそう言って、一冊の姓名判断の本を取り出した。手に取ってみると、あちこちに蛍光マーカーでラインが引いてあり、さながら受験生の教科書のようだ。「ところが、思ったより面倒な約束事があって……ほとんどパズルみたいなんだ、これが」姓名判断の本はトモローも読んだが、姓の画数が○○運を表し、姓の頭と名前の最後の文字の画数の和が△△運を表し……と結構複雑なのだ。さらに、それぞれにいい画数を苦心し