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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

て探し当てても、トータルの画数で見ると凶になったりすることもあって、完璧を期そうとすると、かなり苦労すると思われる。それこそ素人には手に負えないレベルで、プロの意見を聞いた方が早くなるだろう。「で、この人が、あんまりウンウン唸ってるもんだから、私が聞いたのよ……アメリカとかフランスの人たちは、どうしてるのって。そしたら、この人、『うっ』って言ったきり、しばらく動かなくなっちゃったの」何だか、その光景が浮かぶような気がしたが──確かに姓名判断は、漢字を使っている文化圏限定の占いである。あるいは英語圏にも、名前の文字数で吉凶を見る占いがあるのだろうか。「まぁ、とにかく」お義父さんは大きく咳払いして言った。「トモローくんたちの気遣いはありがたいが、やっぱり子供の名前は、親が考えるのがいいと思う。いい名前をつけてあげなさい」結局、お義父さんはギブ・アップしてしまったというわけだが──それならば、とトモローと美智子は、以前から考えていたものをいくつか発表し、その場で決めることにした。実はお義父さんに頼む前、二人の間では〝智里〟という名前が、もっとも有力だった。〝チサト〟と読むのだが、女の子らしいかわいい音だし、美智子の智の字も入っている。強引に言えば、トモローのトの音も入っている。