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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 1/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

その話が出たのは、年を越して、しばらくのこと──美智子が会社に復帰する日が、具体的に決まり始めた頃だった。美智子は法律で定められた産休期間に会社から与えられる育児休暇を加えて、その年の三月いっぱいまで会社を休むことにしていた。もちろん会社の制度的には、望めば夏ごろまで休むことは可能だったが、仕事のことを思うと、そのくらいが適当だと美智子は考えたらしい。四月から心機一転、再スタートを切るというのも、なかなか悪くない考えだ。けれど、少しばかり予想外なことが起こった──そこを何とか三月から出てこられないか……と、会社から打診を受けたのである。何でも、年度末の膨大な事務処理のために一人でも多くの人手が必要なうえに、春からの新入社員の受け入れ態勢を整えるためにも、美智子にはできればひと月早く復職してほしいのだという。もちろん強制ではないので断ることもできるが、世の中というのは持ちつ持たれつで、権利ばかり主張していればいいというものでもない。後のことを考えれば、よほどの事情がなトモローがおっぱいに嫉妬したワケ3