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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 11/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

11「それは、そうだろうね」ここで難しいのは、一流のインテリアデザイナーへの道は、かなり険しいということだ。すでに独立できるほどの腕やコネがあるならば、会社を辞めることも不可能ではないが──正直なところ、まだ美智子も駆け出し同然である。いくつかのクライアントを任されているとはいえ、先輩たちに助けてもらっている部分も大きい。しかもインテリアデザイナーは小説家のように、新人賞に投稿して道を開くようなものではない。プロとして身を立てるなら、会社に行っている方がはるかに有利なのだ。いや、一部の幸運の持ち主を除けば、会社に所属していなければ、ほぼ無理と言ってもいいくらいだ。「じゃあ、どうするの?」「そこはトモくんの出番でしょう」「えっ、どういうこと?」「私は今、迷ってるのよ……どっちの道を行くべきか、本当に迷ってるの」「そうだろうね」「だから……トモくんが背中を押してくれなきゃ」「えーっ」ここで丸投げですか。「何も、決めてもらおうっていうんじゃないのよ。ただ、トモくんの考えを聞いてから、決心したいの」