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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 12/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

12いきなり責任重大な感じだが、ここは逃げるわけにはいかない。「俺が考えるに……ミッちゃんはインテリアデザイナーの夢に向かって、がんばるべきだ」しばらく考えてから、トモローは言った。「一般的には、お義母さんの言うことの方が正しいんだろうと思う。やっぱり、チーコに寂しい思いをさせちゃいけないよ。でも……それってやり方次第じゃないかな」「やり方次第?」「そう。たとえば俺が家にいて、ミッちゃんが外に働きに行っていることを、いつかチーコは変に感じるってお義母さんは言ったけど……少しも変なことじゃないって俺たちがわからせてあげられたら、何の問題もないと思うんだ。それも口で教えるだけじゃなくて、態度でわからせることができれば、チーコは絶対に変だなんて思わないと思う」「態度でわからせるって、どういうこと?」「つまり……俺たちが、それで楽しくやるってことだよ。親の義務もバッチリ果たしつつ、自分の夢も捨てない。そもそも子供のために夢を捨てたなんて、子供の方にすれば迷惑な話だろ」もし自分がチーコなら、そんな言葉を絶対に親の口から聞きたくないと思う──「パパは本当は小説家になりたかったんだけど、おまえのためにやめたんだよ」。あるいは「ママはインテリアデザイナーとして独り立ちしたかったんだけど、チーコが生まれたから、全部あきらめたの」。