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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 13/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

13チーコにしてみれば、じゃあ、自分が生まれない方がよかったのか……という話になってしまう。子供の心に、そんなムダな圧力をかける親など、百害あって一利なしだ。「大事なのは、きっと俺やミッちゃんが、いつも笑ってることなんだと思うよ。どっちかが無理しても、きっとチーコにはわかる……ひっくり返せば、俺たちが自分なりにがんばってるんだってチーコが認めてくれれば、絶対に変に思ったりしないし、よその家と違うって後ろめたく感じたりはしないと思う。だいたい、そういうことを気にするのは、ゴホンゴホン、まぁ……ヒマな人だから」「偉いぞ、トモロー、よく言った!」美智子は偉そうに腕組みして言った。「まぁ、私の選んだ男は、とりあえずバカではなかったようだな」「えっ、何でそんなに上から目線なの?」「やっぱり、ほら、年上だし」二人は顔を見合わせて笑った。「ミッちゃん、やっぱり俺たちは『イッヒッヒ』を目指そうよ……人生のおいしいところを総取りだぁ」ちゃんと親になって、仕事でも成功して、楽しく暮らして──そんなふうに幸せ丸かじりしながら、イッヒッヒ……と顔を見合わせて笑うことが、トモローと美智子の最終的な夢である。