NHK出版｜WEBマガジン｜主夫のトモロー page 3/18

このページは tomorou009 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要：
朱川湊人「主夫のトモロー」：家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

きっとお義母さんも、かわいい孫の体温を感じながら、改めて娘夫婦の行く末を考えたに違いない。「やっぱり子供のことは、母親にしかわからないこともあるしね……何より、このままチーコが大きくなった時、この子が不思議に感じると思うの。どうして、うちはお母さんが会社に行って、お父さんが家でゴハンを作ってるんだろうって」それは確かに、そうかもしれない。「その時には、仲のいい友だちもいるでしょうから、きっと比べたりもするんじゃないかしら。それで、自分の家は変だって思うんじゃないかしら」「お母さん！　くだらないこと、言わないで」お義母さんの言葉を止めたのは、チーコを抱いた美智子だった。「家によって事情が違うのは、当たり前でしょ。世の中には、いろいろな理由でどっちかの親しかいない家なんてざらにあるし、両方いたって、たとえば病気とか仕事の事情なんかで、親の役目を果たしたくても果たせない人だっているじゃないの」「でも、その人たちには、ちゃんと事情があるんでしょ？」チーコがらみの話となると、お義母さんも黙っていない。「でもトモローくんは丈夫で元気だし、頭もいいし、性格も明るいでしょ。学歴だってあるし、外で働けない理由なんて、一つもないわ。まぁ、前の会社は残念なことになったけど、それはトモローくんのせいじゃないし……きっと明日にでも探しに行けば、すぐにでも仕事