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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 11/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

11が大切なのだ。(ほら……今日もバッチリだ)美智子が出勤した後に泣き始めたチーコを、トモローは起こさずに寝かせることに成功した。やはり何でも、やれば上手になるものだ。チーコは二時間ほど眠り、十一時近くに目を覚ました。トモローはオムツを変えたりミルクを飲ませた後、外に連れ出すことにした。三月に入ってから急に春らしくなったし、特にその日は天気も良く、風も暖か──こんな時こそ、外気に当てて“鍛練”しなくては。トモローは、愛用の“赤ちゃんホルダー”にチーコを入れ、それからベルトを自分に装着した。“赤ちゃんホルダー”というのは、正式名称なのか商品名なのかは知らないが、早い話が進化した抱っこヒモみたいなものである。丈夫な布で作った箱型に何本かのベルトがついていて、その箱の中に赤ちゃんを入れて大人の体に固定し、ちょっとやそっとでは落ちないようにするのだ。体の前面に赤ちゃんを固定する抱っこタイプ、あるいは昔ながらの背中に装着するおんぶタイプの両方で使うことができるが、トモローは抱っこタイプ一択であった。「おんぶタイプも、けっこういいわよ」と美智子は言っていたが、チーコの姿が視野から外れるなんて、