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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 15/16

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

15「もうすぐ六か月になります」思えば会社が倒産してから、親族とスーパーの店員以外の女性と話すのは久しぶりだった。緊張する必要はないのだろうが、心なしか声が小さくなってしまっている気がする。「女の子よね? 髪がふさふさしていて、いいわねぇ」「この子は、生まれた時から髪が濃くて……」予定よりかなり長く美智子のお腹の中にいたチーコは、出て来た時からすでに髪が黒々としていた。「お父さんなのに、一人で赤ちゃんを見てるなんて偉いわぁ」そのママさんの友だちなのか、気がつけば別の女性が二人、すぐ近くに立ってチーコの顔を覗き込んでいた。「いやぁ……そんなの当然ですよ、自分の子供ですから」そう答えると、ママさんたちは顔を見合わせ、感服したような声をあげる。「うちの旦那にも聞かせてやりたいわ、今の一言」「ホントよ。若くても、こんなに立派なお父さんもいるのにねぇ」三人のママさんたちは、しきりに自分の夫をけなし、その分だけトモローを持ち上げてくれた。(何だかフレンドリーで、ありがたいなぁ)さすがにモテているとは思わなかったものの、その自然な歓迎ぶりが、トモローにはうれ