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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 2/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

うまくいっているような気もするけど」二週間ほど前から、美智子が家にいても、哺乳瓶でミルクを飲ませるようにしてみた。もちろん最初は一日一回、それに馴れたら二回……というように、段階を経てである。その甲斐あって、かなりチーコも哺乳瓶を受け入れてくれるようになった。この調子なら朝から夕方までの授乳は問題なさそうだが──そうなると逆に、飲ませすぎないように注意する必要がある。何でも母乳は、さすが人間専用のものだけあって消化吸収に優れ、少しくらい飲みすぎても問題ないらしいが、牛乳から作られている粉ミルクは、量をきちんと守らないと太ってしまうそうだ。もちろん大抵の赤ちゃんはコロコロしていて当然だが、限度を超えてしまうと動きにくくなって、発達の妨げになってしまう……と、検診の際に注意を受けてもいた。「でも私、ぷんぷくりんの赤ちゃんって好きだな。よく見かけるけど、ほら、ホッペなんかお餅みたいな子……すごくかわいいわよね」そういう赤ちゃんはトモローも好きだが、あれは太っているというのとは違うだろう……とも思っていた。何せ赤ちゃんは人間初心者のわりに、自己防御の手段をほとんど持っていない。だから、せめて体をぷんぷくりんにして、防御能力を上げているのではないだろうか。「じゃあ、お相撲さんもそうなのかしら」トモローの意見に、美智子が変な食いつき方をする。「いや、あれは防御力を上げているというより、むしろブチかましの時の攻撃力を上げるた