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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 3/16

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

めだと思うけど……違うかな」そもそも赤ちゃんと相撲取りを同列で語ることが間違いなのだが。「別に、お相撲さんのことはいいのよ」やがて美智子が我に返って言った。「初めのうちこそ、早めに帰ってこられると思うけど……お客さんの相手をするようになったら、そうも言っていられなくなるからね」インテリアデザイナーという仕事は、デスクで図面を引いてだけいればいいと言うものではない。クライアントとの打ち合わせはもちろん、工事の確認や完成した物件の引き渡しに立ち会うことも、当然のようにある。店舗の場合、その多くは開店前や閉店後に行われることが多いので、以前は朝早く出かけたり、日付が変わる頃まで帰れないことはざらだった。もちろん、しばらくはデスクワーク中心の業務で、定時の六時に退社できることになっているが、なし崩し的に遅くなることも予想できた。あまりいい風潮ではないかもしれないが、会社と社員は持ちつ持たれつ──ある程度のサービスを期待されてしまうのはやむを得ない。「大丈夫だよ。いざとなったら、お義母さんに来てもらうから」「そうねぇ……」トモローの言葉に、美智子はわずかに顔を曇らせた。「なるべくなら、母さんはあまりあてにしない方がいいわよ」「それはわかってるよ。あくまでも、いざという時の話」