tomorou010

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 6/16

電子ブックを開く

このページは tomorou010 の電子ブックに掲載されている6ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

めた。(責任重大だけど、がんばらないとな)昨年の九月上旬に生まれたチーコは、まもなく生後六か月を迎える。以前とは比べ物にならないくらいに成長して、どこから見てもいっぱしの赤ちゃんだ。機嫌のいい時は声を出して笑い、お腹が空いたり、むずがった時などは、「こんな小さな体なのに、どこからこんな大音量が……」と思えるくらいに大泣きするようになった。畳の上に敷いた布団の上に寝かせれば、ころんと寝返りを打って、未熟な匍ほ匐ふく前進を披露したりもする。まだ手足の動かし方が上手ではなく、まるで泳ぐ練習をしているようにも見えるが、着実に前に進めるようになってきたのは、我が娘ながら大したものだ。さらに六か月頃というと、そろそろ離乳食を取り入れていくべき頃合いで、ただミルクをあげて寝かせていればいい……という時期ではない。もちろん生真面目なトモローは育児書を熟読して、その内容を頭に叩き込んであるが、やはり知識は実践のためものであり、やってみなければ何事もわからない。(これも、主夫たるものの務めだからな)今までは主夫と言っても、メインの仕事は炊事、洗濯、掃除と、買い物くらいのものだった。そこに今日から本格的に育児が加わるのだ。その意味と責任は、相当に重大である。「チーコちゃん、今日からパパが一緒にいまちゅからねー。よろちくねー」そう言いながらチーコを見ると、いつのまにかトモローの腕の中で眠っていた。赤ちゃん