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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 10/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10に着けて、オムツ替えにかかる時間を短縮させることもできた。さらに経験を積むと、もっと快適にオムツを取り換える環境を見つけられるようになった。早い話、デパートや大型スーパーなどに飛び込んで、交換台を貸してくれるように頼んでしまうのである。もちろん、すべての店でうまくいくわけではない。特に店員の中には、「うちには、そういうのはないんですよね」の一言で話を終わらせてしまう人もいた。けれど何度か繰り返すうち、どういう人に言えば事態が好転するか、何となく判断できるようにもなった。そういうのを新米パパの経験値と言っていいのかどうかはわからないが、必要な技術であるのは確かだ。ズバリ言って店次長クラスの人か、育児経験がありそうな女性店員に言うのが、スムーズに話を進めるコツである。「これからは育児する男性も増えるでしょうから、男子トイレにもオムツの交換台をおくべきですね」そう言いながら女子トイレから使っていないオムツ交換台を引っ張り出してくれたり、本来は客が入れない事務所の隅でオムツ交換をさせてくれたりする。また、すぐにそういう人が見つからない場合、育児経験がありそうな女性店員などは、そうできるように上に話を?いでくれたりするのだ。(案外、どうにかなるもんだなぁ)