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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 13/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

13という歌だったか。「あの時は、本当にビビッたなぁ」すでに顔も覚えていない初老の男性との短い交流を思い出しながらトモローが言うと、美智子が思いがけず真剣な面持ちで言った。「今になって、こんなことを言われても困っちゃうだろうけどね……世の中には、案外保守的な女性が多いものよ。今は調子いいみたいだけど、そのうちトモくんも壁にぶつかるかもね」「どうしたの、急に」含みを持たせたような美智子の口調が気になって、トモローは聞き返した。「いや……別に、たいしたことじゃないんだけど」すぐには答えようとはしなかったが、何度もトモローが尋ねて、ようやく美智子は答えた。「この間ね、後輩の女の子に、会社に来ている間、子供はどうしてるんですかって聞かれたの。別に隠すようなことじゃないから、旦那が見てるって、私も普通に答えたのよ。そしたら、その子、何て言ったと思う?」美智子の顔を見る限り、あまり楽しい会話ではなかったようだ。いったい何と言われたのだろう。「まぁ、かわいそう……って、言われたのよ」「えっ、それは、どっちが? 俺が? チーコが?」「面倒くさかったから、よく聞かなかったけど……話の流れとしては、チーコじゃないかし