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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 6/14

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

その相談を読んだ後、チーコのぷんぷくりんのほっぺを見ながら、トモローは思った。何があっても、このぷんぷくりんを叩いたりつねったりすることなんて、自分にはできない。想像するだけで、全身に鳥肌が立ちそうだ。(このお母さんも、そう思ってるんだろうに)そう、その若いお母さんだって、赤ちゃんを叩くなんて、道義的にも発育的にも、いけないことだとわかっているのだ。育児雑誌を毎月買っているようなお母さんが、赤ちゃんを大切に思っていないはずがない。それなのに自制できないのは、お母さんの心が相当に追い詰められてしまっている証拠だ。(そう思うと、育児は呑気くらいなのがいいのかもなぁ)残念ながら、そのお母さんには同情を寄せる以外にできることはないが──せめて他山の石とさせてもらおうと、トモローは思った。(とにかく、何でもかんでもうまくやろうと思わないことだよな)ほんの一か月ほど昼の育児をやっただけで、トモローは偉そうに考えたりしたが、そのように考えられるのも、とりあえずスムーズに育児ライフを過ごせているからだろう。会社の好意もあって、美智子は、復職してから定時より少し早い時間に帰ることができた。だから、買い物だけ済ませておけば、美智子が帰って来てから夕食を作ることもできる。また、お義母さんが狙ったように夕方にチーコの顔を見に来ることが多いので、その間、チーコを任せて買い物に行くこともできた。言ってみれば、育児雑誌に載っていた悩めるお母さ