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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 7/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

んよりも、はるかにいい環境なのだ。これだったら男が育児しても、何の問題もないよな──トモローは呑気に思ったりしたが、実はそれが、言わば“自分の育児の蜜みつ月げつ”だということに、やがてイヤでも気づくようになる。そう、呑気でいられたのは、まだチーコが赤ちゃんだったからで、少しずつ社会と関わるようになっていくと、そうノンビリと構えてもいられなくなるのである。その予兆はチーコの成長のように、ゆっくりに見えて、思いがけず早くやってきた。「トモくん……何より大切なのは、絶対にチーコの命を守ることよ。ちょっとした体調の変化を見逃さないようにするのは当たり前として、危ないものに近づけたり、ケガに?がりそうなことは、絶対にやらないで」会社に戻る日が決まってから、何を置いても美智子が厳命したのは、その一事だった。とにかく病気やケガに注意して、チーコの無事を最優先するのだ。考えてみれば当たり前のことだが、再確認しておくに越したことはない。「もし道を歩いていて事故に巻き込まれそうになったら、何が何でもチーコを守るのよ」そんな事態は想像もしたくないが、起こる可能性がゼロというわけではない。トモローは胸を叩いて答えた。「当たり前だよ。俺の命に代えても、絶対にチーコは守る」「けっこう。でも、チーコの命の次に、ちゃんと自分の命も守るのよ。何もトモくんが、ど