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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 9/14

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

コを付き合わせてもいいということになる。(よっしゃ、鍛えたるでぇ)なぜか関西弁でそう思ったトモローは、例の『フランス悪魔の抱っこヒモ』を使って、どこに行くにもチーコを連れて行った。近所を散歩するのはもちろん、電車に乗って出かけることもあった。と言っても、子供が喜ぶようなところに連れて行っても、まだチーコの月齢ではわからないので、大型書店に小説の資料にする本を買いに行ったり、登場する街の取材など、自分の好きなことができたのだ。そうすることでトモロー自身も、新米パパとしての経験値を上げることができた。オムツの交換一つにしても、男がやるとなると面倒である。かなり大型のショッピングセンターに行っても、男子トイレに交換台が用意されているところは、ほとんどないのだ。むろん女子トイレに入るわけにもいかないし、かと言って、ところ構わずオムツを開けるのもいかがなものかと思える。子育てをしているからと言って、何でもかんでも世間に甘えていいわけではない。トモローは初め、なるべく人がいない場所に行って、オムツを交換していた。たとえばひと気のない公園の隅や、区民センターなどの公共施設に設置されたベンチ(わけを話せば、たいていイヤな顔はされなかった)で、手早くやってしまうのだ。そのために必要なものを持ち歩く荷物のリストにバスタオルを加え、さらには手早く処理する技術を身