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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 10/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

10メグちゃんママは、それ以上、詳しいことを語りたがらなかった。好奇心にかられたトモローがしつこく聞いて、ようやく続きを話してくれたが──それは本当にくだらなかった。何でもメグちゃんが今より少し小さかった頃、そのお母さんたちの中の一人の子供と、同じ砂場で遊んでいたそうだ。その子は元気の余った三歳後半の男の子で、何やら熱心に穴を掘っていたらしい。その作業に夢中になったためか、あるいはわざとなのか、シャベルで掘り返した砂を、勢いよく周囲に撒き散らしていたのだ。できれば、お母さんが止めてくれたらいいな……と、メグちゃんママは思っていたそうだが、当のお母さんは友だちとのおしゃべりに夢中で、まったく気が付いていなかったらしい。そのうち、とうとう砂がメグちゃんの顔に飛んできたので、メグちゃんママは、その子をやんわりと注意した。すると今まで黙っていたはずのお母さんが、いきなり血相を変えてやってきて、なぜかケンカ腰のような口調で言ったのだそうだ。「うちの子が何かしました?」メグちゃんママが事情を話すと、「すみませんね」と口では言うものの、いかにも不満げだったそうだ。その後、自分の子供を砂場から引き?がして、別の遊具の方に行ってしまったのたが──その時、一緒にいた友だちに、「ああいう小さい子がいると、面倒くさいわね」と聞こえよがしに言ったらしい。「それは……けっこう、ひどいですね」