tomorou013

NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 11/18

電子ブックを開く

このページは tomorou013 の電子ブックに掲載されている11ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

11トモローが言うと、メグちゃんママはウンザリとした顔で頷いた。「みんながみんな、そうだってわけじゃないけど……時々いるのよ、そういう人が」きっと自分の子供が、柔らかい口調だったとはいえ、他人に??られたのが気に入らなかったのだろう。世の中には、そういうことにやたら敏感な人もいる。子供が注意されることは、親である自分のプライドを傷つけられることと同じだと、なぜか思っているのだ。「それで……やっぱり、そのままっていうのも気まずいじゃない? だから二日くらいして、また会った時、私の方から挨拶したのよ……この間はどうもって」「そうしたら、どうしたんですか」「いやぁ、もう完全無視よ。私の方をチラリと見ただけで、何の返事もしてくれないの。それで離れてから、仲間内で何かコソコソ言い合ってるのよ」そういうこともあるかもしれない……と、トモローは思った。これは男だから、女だから、というような話ではない。人間の中には、そういう面倒な人が、時々いるのだ。こちらが特に問題にしていないようなことを深く気に掛ける人もいるし、こちらが気に掛けていることに、まったく意を介さない人もいる。価値観の違いと言ってしまえば、それまでなのだろうが──そして人は、似たような価値観の人と寄り集まってグループを作りたがるものだ。早い話、類は友を呼ぶ。