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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 14/18

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朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

14よく知ってるだろ」「知ってるわよ」打てば響くように、美智子は答えた。「でもトモくんだって、私の立場になって考えてみれば、わかるでしょ? 自分の旦那が、よその家の奥さんと意気投合して仲良くやってる……なんて話を、心穏やかに聞けると思う?」「だから、考え過ぎだって。あの人は、言ってみれば会社の同僚みたいなもんだよ。単に同じ仕事をしてるから、話が合うだけでさ」我ながら、いい喩たとえが出た……と思った。そう、メグちゃんママは、同じ育児の仕事に従事している同僚みたいなものだ。それ以上の感情なんか、小指の先ほども持ってはいないのだ。「トモくんには悪いけど、あなたが男で、その人が女である以上、何かあるって勘ぐり始めたら、いくらでも勘繰れるのよ」きっと仕事で疲れていたのだろう、思えば美智子らしくない言葉だった。いつもなら、一度は実際にメグちゃんママと顔を会わせてから、その人物を判断するはずなのに──ただ相手が女性というだけで、拒絶反応を示している。「ちょっと待ってくれよ、ミッちゃん……確かに男と女だったら、いくらでも勘繰れちゃうかもしれないけど、その理屈で行ったら、俺は永久に、女性の育児友だちが作れないってこ