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NHK出版|WEBマガジン|主夫のトモロー page 15/18

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概要:
朱川湊人「主夫のトモロー」:家事や育児を通じて“主夫”トモローが直面する苦悩と出会いの毎日を描く、現代の「イクメン・婚活ブーム」に一石を投じる、痛快家族小説。

15とじゃないか」いくら何でも、それはあんまりだ……と思った。「言われてみれば、そうなっちゃうかもしれないわね。確かに、それはあんまりだわ。トモくんがかわいそう」美智子はチーコを抱きしめたまま言った。「でも、私が楽しくない気持ちになるのも本当よ」 そう言われてしまうと、トモローは黙るしかなかった。誓ってもいいが、自分はメグちゃんママに特別な感情を持っていない。ただ、いろいろ話せる相談相手ができて、うれしく思っているのは確かだ。こっちが男性で、あっちは女性──それだけで、そう思ったり感じたりすることは良くないと言うのだろうか。その時トモローの頭の中に、〝男の女の間には、深くて暗い河がある〟……という古い歌の文句が浮かんだ。やれやれ、世の中というのは、意外なところで面倒くさい。(とにかく……あまりミッちゃんに、メグちゃんママの話はしない方がいいってことだな)そう思ったトモローは、とりあえず適当なことを言って、その場を切り抜けたが──その数日後、メグちゃんママの方から、突然に悲しい絶交を言い渡された。「ごめんね、チーちゃんパパ」その日、公園で顔を会わせたメグちゃんママは、開口一番に言った。